facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

村上"PONTA"秀一 feat. 槇原敬之/LOVE SPACE

村上"PONTA"秀一 feat. 槇原敬之/LOVE SPACE

MY PLEASURE~FEATURING GREATEST MUSICIANS~

MY PLEASURE~FEATURING GREATEST MUSICIANS~

前日の宇多田ヒカル/travelingから、その曲を今度カヴァーする槇原さんへ数珠繋ぎ。
といっても彼のオリジナルではないのですが。

この曲で槇原さんが放つ声があまりに純粋なのです。一切の迷いの無い声。


謹慎後、暫くの間、自分の中で槇原敬之さんを許せませんでした。事件を引き起こしてしまったことがあまりに大きく、楽曲のファンだった過去さえ抹殺したいくらいに許せませんでした。自分勝手な考えですが、"裏切られた"という想いが支配し、あわよくば金輪際彼の曲は聴かないとさえ思うくらい、許せないという気持ちがあったのです。
世間では、彼の事件によって引き出された別の部分にスポットを当ててバッシングしている、そんな風に感じられたのですが、別に自分は、その別の部分の噂が真実であったとしてそれはその人個人の性格?みたいなものだし、別に誰かに迷惑掛けるわけじゃないから全く問題ないと思ってるのですが。しかしあの事件そのものは非常に腹立たしかったことを覚えています。
なので、正直彼がSMAPに提供した名曲「世界に一つだけの花」(2003年)は、事件の後遺症があって好きになれなかった、というのが本音です。無論自分勝手な考えなのですが。しかし、その曲が世間に浸透するにつれ自分の中で槇原さんへの怒りが少しずつ氷解していったのは間違いなく、そしてその考え(後遺症)が完全に払拭できたきっかけとなったのが、その年の暮れにリリースされた村上"PONTA"秀一さんのアニヴァーサリー盤に収録された前述の曲なのです。

曲は山下達郎さん初期の名曲で煌びやかなサウンド、メロディラインが煽る高揚感が堪らない魅力を放っているのですが、この曲を歌う槇原さんは、まるで全ての枷が外れたかのように、迷いや混じりけの一切無い、通りまくった声で、夜空の曇りを拭い満天の星を描いたかのように歌い上げているのです。これほどまでの名カヴァーはない、と断言できるほどの出来に、聴いた瞬間ひたすら感激したのを覚えています。無論、村上"PONTA"秀一さんのリードあってこそですが、この曲は完全に槇原さんが自由に宙を舞っていて、ただただ見事でした。

あの迷いの無い名唱を聴いて、こちらが抱いていた悪いイメージは吹き飛び、以降再びファンになったのは言うまでもありません。逆にこうも考えるようになりました…あの事件があったことで、今の槇原さんはより真っ直ぐに、ただひたすらに自分の思いを歌に込めるというスタイルを確立させたのだな、と。最近では恋愛以上に人生に光を導くという歌が多くなっているように思うのですが、ゴスペル的アプローチでありながら説教臭くない、純然たるPOPSとして味わえる歌を作る才能は益々進化していると言っていいでしょう。そして職人的センスに加え、声の純粋さも高まってきているということを、前述のカヴァー曲が証明しています。


●追記
槇原さんを取り上げたコラムとして、下記は必読だと思うのでリンクを貼らせていただきます。