facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

9/19『福井deナイト☆ 最終回(夜の部)』@四谷天窓.comfort

8月の竹内真・いぶき路上ライヴツアーにて、福井HALL BEライヴでのイベントのブッキングを担当されたnaoさん(福井旅行の際には大変お世話になり、ありがとうございました)が主催する恒例イベント、『福井deナイト』の最終回に行ってきました。最終回であることが勿体無いくらいの素晴らしいイベントでした。
会場は、最終回が持っているもの悲しい雰囲気は皆無で、アットホームな雰囲気が全体を包み込んでおり、最終回という実感は全く沸いてきませんでした。福井でお会いした時のままのnaoさんの愛くるしい笑顔がさらにその雰囲気を助長していて、和やかな気持ちが最後まで続いていきます。

ライヴ進行は福井ツアーの御礼にと竹内真さんが担当。スムースな進行の中、オープニングアクトとして登場したかえさんが、前日の満月を思い「朧月夜」(歌詞自体は季節的には異なりますが)を披露。独特の力強い歌声がシンプルな旋律に映え、存在感を放っていました。

ではここから福井最終回、スタートです。


ラブアタックイブ

柔らかく温かな歌声、穏やかで自然な旋律。パーカッションとのライヴは初見ですがリズムを刻むソリッドな音がよりラブイブさんの柔らかさを引き立て、また珍しいエレキでの弾き語りでも、ラブイブの魅力は全く変わらず、むしろ音世界の拡がりが生まれてました。堂々としたステージングにただただ引き込まれていくばかり。関係ないかもしれないけど、いぶきのやす君と激似というのも、より親近感を与えてくれます。今回秀逸だったのは「流星ジェット」。10/2のワンマンライヴ(@四谷天窓)がより楽しみになってきました。どんなスタイルでも−たとえ大所帯だろうが弾き語りだろうが−ラブイブさんの世界は変わらず温かいのだ、と今日感じられたのは大きな収穫でした。


②松田幸子

絵本の世界を縦軸に進行するステージ。進行に合わせて曲が挿入され、絵本の世界と歌世界がシンクロしていく構成。それがただただ見事でした。
前回のライヴでも感じたのですが、彼女には孤高の存在感があります。穏やかで丸い声から放たれる、想像を遥かに超えた圧倒的な歌ちからが、怪談であれ絵本の世界であれ、その世界に見事に溶け込み最終的には自分の歌世界を築く礎にするという…凄まじい音楽家です。しかも、旋律を若干変え放たれた「イエローサブマリン」の音色。あれだけもの悲しい潜水艦を聴いたことは無いくらい。なにをも自分の色に染められる力を持ったアーティスト、なかなかいません。終始圧倒されっぱなしで拍手するタイミングを逸する程、引き込まれてしまいました。


ここで、竹内真さんが歌い手として登場。

何でも松田さん、ラブイブの本名松山さんの"松"、次に担当する梅津貴之さんの"梅"があって、"竹"がないじゃないか、とのことで。急遽決まった出番ながら、披露した曲は次の梅津さんが嫉妬するほど(MCで"そんな素敵な曲歌うんじゃない"と言ってました)、1曲へ込める集中力は只者ではありませんでした。


梅津貴之

前回拝見したライヴ同様、ピアニカ担当のちささんと。ちささんはラブイブのコーラスも担当しているとのこと(でもこの日は梅津さんに専念)で、ラブイブさんが前列ど真ん中に鎮座し温かくステージを見守ってました。
二人のセッションは前回が初めてだったのですが、前回のライヴを遥かに凌ぐ二人の息の合ったセッション、それでいて極めて自然体な雰囲気を作れるのが素晴らしいのです。この日、当初は披露予定じゃなかった「夜汽車と春の歌」を最後に持って来たのですが、一筋縄ではいかないコーラス等を難なくこなしている二人は凄い。曲の持つ雰囲気がさらにランクアップしたかのような好演となりました。
ちなみにMCでは"どっちが天然か"ということで揉め(?)、アンケートにどっちがそうなのか書いてと言っていましたが…両方ではないかと(笑)。


高橋啓太 (from オトナモード)

若干20歳と聞いたときにその耳を疑いました。完全に自分の世界を作り上げているのです。
卓越したギターの腕、深い声の醸し方(ラブイブさんの声を低くしたような感じ)、そして深い世界を作り出す詞曲…それらが極々自然に、そして見事に融合しています。「森を抜けて」での雰囲気がとりわけ好きで、しばらく見入ってしまいました。「憧れ」で力強く発する声のところで若干声の色が乖離してしまうのですが(音源の一部はHPにて試聴可能です)、その声もまた魅力的で、たまには力強い声で通す歌も聴いてみたいところ。最後は「中央線」のカヴァーで締めましたが憧れが強すぎたからか、巧く弾けなかったのがちょっと惜しかったですね(その際の苦笑する姿が年齢相応の反応だったな、と)。でも今回の対バンの豪華メンバーにひけをとらない高レベルだと思います。


かえ

7/22の梅津貴之さん・真ココロさんツーマンの助演で拝見して以来の観賞。神秘的な雰囲気は変わらず、ピアノと美しい照明(四谷天窓.comfortの照明は素晴らしい色彩で大好きなのです)に溶け込みながら、声と旋律が圧倒的な存在感を放ち、ダイレクトに心を捉える歌世界。実に格好良かったですね。メドレーで自作曲に次いで放ったCarole Kingの「So Far Away」、Caroleへの愛着がひしっと感じられる好カヴァーでした。月を題材にした曲も多く(「月は東に日は西に」「満月」)、満月の放つ神秘さを歌に内包した世界が見事。弾き語りもそうですが、サポートを従え歌に専念する姿がジャズっぽいオトナな佇まいで格好いいのです。しかも今回、別れを歌った歌で、(照明の当たり具合からそう見えたのかもしれませんが)瞳が潤んでいるのが見えたのです。心を揺らして歌う姿が感動的でしたし、もしかしたらこのイベントの最後を悲しんでいるから潤んだのか…と。そう思うと急に実感が沸いてきました。


最後は(MCの真さんが急なトラブルの為)かえさんと梅津さんによる三本締めで終了。
かえさんが言ってたけど、こんなに素晴らしいアーティストが集い、ハイレベルの演奏を披露する雰囲気を作れるのは、イベンターnaoさんの人徳の賜物なのです。naoさん、本当にお疲れ様&ありがとうございました。