facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

服部祐民子、CCCDと音楽業界について言及

ミュージックマシーン9/20付より。アーティスト、服部祐民子氏が9/20付の自身の日記「音楽と金」にて、今回のCCCD弾力化について触れています。以下、一部抜粋します。

2年もやってたんだ、これ。
CCCDでリリースしちゃった旧譜はどうするんだろ。
iPodの普及が予想外に大きかったのと、
CCCD導入後、業績が落ち込んだせいとのことですが。
結論的には「やっぱり儲からない」との判断ですかね。
(中略)
とにかく、この2年にも及ぶCCCDの問題は、
音楽ビジネスのあり方、著作権の問題、消費者のモラル、
そういったものを考えるきっかけにはなった。
ただ、撤廃を宣言したからといって問題解決にはならない。
単にゼロに戻っただけである。

単にゼロに戻った、という言葉に共感します。今回、各社がCCCD弾力化〜終焉へ向けての動きを公表していますが、これで問題が解決へ向かう、とは自分も微塵も考えていませんし、考えてはいけないと思います。少なくとも違法なコピーやその関連の問題(例えばリリース前の音源を盗み、海賊盤として平然とリリースする問題などで、それによりR.KellyEminem等が被害に遭っています)は今後も存在し続けるわけです。CCCDはその規格自体に問題があったことはもとより、レコード会社の一方的な実施によって、消費者の理解を得ようとしなかったわけです(そしてその背景には消費者=コピーを行う犯罪者予備軍、という認識があったことは否めないでしょう)。今後は消費者と協調してこの問題に取り組み、そしてCCCDの荒療治(CCCDの導入がコピー問題に対し考えるきっかけを与えたかもしれませんが、少なくとも正攻法ではなかった、と考えます)によってではなくきちんと正面からコピー問題の浸透にレコード会社は努めるべきでしょう。今回の一方論は確実に現行の音楽業界のモラルの問題を浮き彫りにし(更に輸入CD規制の問題で尚いっそう、レコード会社のモラルのなさを知らしめる結果となりました。ただし、法律施行直前になって法案可決後の整備が全くなされていないことが露出しており、こちらもやっかいな問題であることは間違いありません)、同時にモラルへの消費者の意識(レコード会社への監視・糾弾の姿勢)を高める結果となっています。
やはり、前述したのですが、旧譜のCDでの再発やこれまで消費者が購入したCCCDのCDへの交換(出来れば無償で)を行ってほしいところです。かなり大規模で難しいでしょうが、少なくともそれが会社としての責任だと考えます。
服部氏は音楽ビジネスについても発言しており、そちらも必読です。究極の理想論になってしまいますが、音楽が「良い作品が売れる・それ相当の実績を作る」構造に少しでも近づくようになってほしいと思います。

9/21、『だれが「音楽」を殺すのか?』が発売

音楽配信メモの管理人、津田大介氏が執筆した著書『だれが「音楽」を殺すのか?』が21日に発売になりました。以下、音楽配信メモ 9/21付での津田氏のコメントを抜粋します。

エイベックス、SMECCCD撤退という、ある意味とても良いタイミングで発売されるのはうれしい限り。77ページ(!)に渡って、CCCDの問題点をいろいろ書いているので、なんでレコード会社がCCCD撤退に至ったのか、その理由を知りたい人にうってつけではないかと。売れる売れないとかは別にして、できるだけ多くの人に読んでもらえればありがたいです。もう、じゃんじゃんコピーしまくって読んでください!

音楽を考える上で大きな意義のある書になるのではないか、と思います。

マイクロソフトと音楽業界、LonghornのCDコピー防止技術で協議

レコード会社各社とMicrosoftは、次世代Windowsオペレーティングシステム(OS)「Longhorn」でコピー防止機能付きCDをサポートする方法について議論を重ねている。

(以上、冒頭部分を抜粋) この協議に関しては、ニュースの著者自体『今後の技術開発や将来の消費者行動の予測に基づいた、ある意味で非常に現実離れしたものだ。(中略)米国ではこうした技術を採用したアルバムはほとんど発売されておらず、大成功を収めているとは言い難い』(以上記事より一部抜粋) と記載しているように、この協議自体を疑問視しています。
ここで問題は、この協議を率先して行っているのがEMIであるという点です。EMIは先日フランスにてCCCD採用について処罰の対象になったのにも関わらず、かなり強気になってMicrosoftに働きかけています。EMI Music North America会長、David Munns氏はこの件に関し『これまでにもMicrosoftと協議を行い、ユーザーがコピー防止機能付きCDをもっと簡単に扱えるよう、これをサポートする機能をOSの根底の部分に組み込む方法について話をした』(以上、記事より一部抜粋)上に、以下のコメントを発しています。

「われわれはMicrosoftに対し、ルールの内容とまでは言わないものの、そのフレームワークを提示するよう求めている」
(中略)
「そうすれば消費者の混乱は解決されるし、物事全体が消費者にとってはるかにフレンドリーで簡単なものになるだろう」

ここに、企業の一方的な消費者の落とし込みという企てを弥が上にも感じてしまいます。導入しようとする技術"Longhorn"は現在よりDRM(デジタル権利管理)をはるかに強力なものにする、ということで、消費者に自由を委ねようとしない姿勢に疑問を感じずにはいられません。それ以上に、消費者を企業が一方的に先導しようとする強気の姿勢は、結局は消費者のことを全然解っていないか、寧ろ解ろうとしていないのではないでしょうか。

恐らくはEMI自身がそういった消費者無視の姿勢を貫く現状が解ったわけですから、日本の東芝EMIも追従することになるのでは、という危惧感を抱いてしまいます。