facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

アメリカiTMSを値上げに導かんとするレーベルの正体

ニューヨークタイムズによると、アップルは少なくとも2社のメジャーレーベルとの間でiTunes Music Storeの価格交渉を進めている。交渉の結果によっては、現在の一律99セントという価格設定が変更される可能性もあるという。その例として、同紙は人気のある新曲の価格が1.49ドルになるかもしれないとしている。
(中略)
ニューヨークタイムズは、楽曲によって複数の価格で販売される日本版iTMSの価格設定が、こうした音楽レーベル側の圧力につながっていると指摘している。

(以上、記事より一部抜粋) 若旦那の独り言2005 Ver.3『衝動ポチできる値段』経由。若旦那の独り言2005 Ver.3の管理人、eiさんが現在の日本のiTMSでの状況を踏まえ、自身の意見を述べており、私もeiさんと全く同じ意見です。『衝動的に「ポチ」できる値段て、200円を超えるとダメだと思う。150円、ジュース1本分が限度、できれば100円がいい』や『ダウンロードできるのは「圧縮音源」なのだ。(中略) iTMSはユーザーをCDに導くための手段なのだ!』(以上、記事より一部抜粋)という箇所は、個人的に激しく納得。


ところで、ニューヨークタイムズの記事から、今回の値上げへ導かんとする"犯人"が判ります。

Universal Music Groupなどの音楽会社の複数の幹部は、iTunesの値上げが消費者のP2P回帰という逆風につながりかねないとし、ジョブズ氏の意見を支持している一方、EMI Groupなどは楽曲によって複数の価格で販売できるようにすることを主張している。一方、Sony BMGiPodiTunesWMAのような他社のフォーマットでも使えるようにすべきだとアップルに詰め寄っている。

(Mac & Pal『iTMSにレーベルの値上げ圧力──日本版が引き金に』より一部抜粋)
結局のところ、ここでもCCCD推奨派が絡んでいるのです。
アメリカでのセキュアCDを導入しているEMIと、SONY BMG(直接値上げ云々ではないものの)が話をややこしいことにしています。セキュアCDの導入企業がここでも歩調を合わせてアップルに圧力をかけている状況は何か怪しい臭いがしませんか。もしかしたら、この2レーベルは音楽配信面で自分達が主導権を握るべく、今後世界的に"iTMSの値上げ"(そして"セキュアCDの普及"…個人的には一度レーベルゲートで失敗したソニーが汚名返上で再導入するような気がしてならないのです。杞憂に終わるといいのですが)を行っていく可能性があるのかもしれません。


ちなみに、『Sony BMGiPodiTunesWMAのような他社のフォーマットでも使えるようにすべき』と記載されていますが、そのSONY BMGが採用するセキュアCDは、世界普及率1位のiPodに準拠していないフォーマットでのみインポート可能…ユーザー配慮を無視したやり方に意地汚さを覚えてなりません。


●追記
この記事をトラックバックしてくださったeiさんが、新たな記事を作成し、そこでもSONY BMG及びEMIの動きを取り上げています。

eiさんが取り上げたマクさんの8/29付記事『9がつ5にち、UKでHMVが、デズタル音楽サビス開始』の記載内容から一部抜粋。

でその、新「HMV・デズタル (HMV DIGITAL)」サビースは、(中略) サビースを提供ずるタメに、マィクロソフトと、アメリカの音楽サビス「ミュジクネト」と一緒にヤッてーて、デフオルトの、デズタル権利管理(DRM)システムは、ウインドズ・メデァになるそうてす(UKで、MP3プレヤ・オーナーの75%が持ってーる、アイポドは不可)。サブスクリプシヨン-ベースのサビース。あと、イロんなネダン設定を提供ずる事も、予定してるそうでよ。で、どうやら、コレは、4つのメジャァ・音楽レーベル(ソニィBMG、EMI、ユニヴァサル、ワナー)のウチの、2社からの、スゲぇリクエストがあったから。と、考えらりる。との話てす

多種の価格設定を要求する2社…前述のニューヨークタイムズ紙に掲載された内容から察するに、SONY BMG及びEMIと断言しても差し支えないでしょう。
しかも、iPod不可という動きは、まさに現セキュアCDiPod/iTunesを不可とする動きとシンクロしていませんか。


推測の域は超えませんが、今後SONY BMG及びEMI側は意地でもiPod対抗の措置を全世界でとっていくでしょう(EMIは日本のiTMSに参加しているものの、セキュアCD採用やiTMSでの値上げ圧力を行っており、そのスタンスは流動的であり、皮肉を込めて言えば最も卑怯です)。日本でのSONY BMGセキュアCD化が現実味を帯びたように思え、恐怖すら覚えます。