facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

答弁書での『回答』

以上、全てmelma!blog [The Trembling of a Leaf]より。川内博史議員等が7月30日に提出した各質問主意書に対する回答が漸く届けられた形です。
質問主意書とその答弁を照らし合わせてみます。
(分かりやすくするため、若干のアレンジを加えさせていただきました。ご了承下さい)

衆議院議員川内博史君外一名提出コンテンツ海外流通促進機構が制定する「日本産」マークに関する質問に対する答弁書

(質問主意書)
一 コンテンツ海外流通促進機構(以下「機構」という。)が制定し、本年八月より世界各国で順次、商標登録手続きを進める予定である「日本産」マークは文化庁もしくは経済産業省の行政指導に基づいて表示を義務付けられるものではないことを確認されたい。また、機構の加盟事業者及び団体が「日本産」マークを使用するか否かは特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針(平成十一年七月三十日公正取引委員会公表)第4−5(3)エにおける「自己又は自己の指定する者からライセンスを受けるよう強制することによって、ライセンシーの商標等の選択の自由が制限され、市場における競争秩序に悪影響を及ぼすおそれ」が生じることのないよう、使用の可否は個々の事業者が自由意志により決定し、機構ないし加盟事業者団体が使用を強制するものではないことを確認されたい。

(答弁書)
一について

 お尋ねのコンテンツ海外流通促進機構(以下「機構」という。)においては、機構の会員等が諸外国において販売する映画、音楽等の著作物に係る商品(以下「著作権関連商品」という。)に、当該諸外国で商標として登録した統一的な標章(以下「本件マーク」という。)を付することにより、著作権関連商品と当該諸外国で流通する著作権関連商品の不正な複製品(以下「不正複製品」という、)との識別を容易にするとともに、不正複製品に本件マークが不正に使用された場合には、侵害の立正等が一般に著作権よりも容易な商標権に基づき、当該不正複製品の差止めなどの法的措置を講ずることを可能とするなど、著作権関連商品について、わゆる海賊版対策の実効性を高めることを検討しているものと承知している。
 本件マークの策定については、機構が自主的に検討を行っているものであり、文化庁又は経済産業省において、関係する事業者に対し、その商品に本件マークを付することを義務付けることは考えていない。
 また、機構から聴取したところ、個々の事業者が本件マークを使用するか否かについては、個々の事業者が自由に決定するものであり、機構又は機構の会員である事業者団体が本件マークの使用を強制することはないとのことである。
 なお、「特許・ノウハウライセンス契約に関する独占禁止法上の指針」(平成十一年七月三十日公正取引委員会公表)第4の5の(3)のエは、特許及びノウハウの使用許諾契約に係る特許権等の使用の許諾者と被許諾者との関係について記述するものであり、かかる契約とは関係のない本件マークの使用について、当該指針で明らかにされている考え方が適用されるものではないと考える。

(質問主意書)
二 機構及び加盟事業者、団体による「日本産」マークの使用目的は正規ライセンス商品と海賊版商品の識別を容易ならしめることであり、正規ライセンス商品のわが国への並行輸入行為全般を商標権により阻害することを使用目的に含めないことを確認されたい。また、かかる目的での「日本産」マーク使用による並行輸入行為全般の阻害は「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(平成三年七月十一日公正取引委員会公表)第3部「総代理店に関する独占禁止法上の指針」第三「並行輸入の不当阻害」に照らし合わせて私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年四月十四日法律第五十四号)上、同法第二十一条における適用除外規定の趣旨を逸脱し、問題となる恐れがあることを確認されたい。

(答弁書)
二について

 機構から聴取したところ、本件マークの使用の目的は、一についてで述べたように、海賊版対策の実効性を高めることであり、お尋ねの「正規ライセンス商品のわが国への並行輸入行為全般を商標権により阻害すること」ではないとのことである。
 また、お尋ねの本件マークの使用による「並行輸入行為全般の阻害」が、具体的にどのような行為を指すのか必ずしも明らかではないが、一般論として言えば、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二十一条に定める「権利の行使」と認められる範囲を超えて、本件マークを付した著作権関連商品の並行輸入を阻害する行為を行うことは、同法第二条九項の不公正な取引方法に当たり、同法第十九条の規定に違反するおそれがあると考える。

(質問主意書)
三 文化庁及び経済産業省は「日本産」マークを日本工業規格適合商品に表示されるJISマークや日本農林規格適合商品に表示されるJASマークと同様に、日本国内において公益性を有する標章と認識しているのか。有すると考えている場合はその具体的な理由を明らかにされたい。

(答弁書)
三について

 本件マークについては、一についてで述べたように、海賊版対策の実効性を高めることを目的とするものであるが、飽くまで、機構の自主的な取組により策定されるものであって、法令の規定に基づき定められている「JISマーク」及び「JASマーク」とは異なるものであると考える。

衆議院議員川内博史君外一名提出いわゆる「コピーコントロールCD」に関する質問に対する答弁書

(質問主意書)
 本年三月八日に提出した「今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける「商業用レコード」の定義と法律の適用範囲に関する質問主意書」(衆質一五九第三三号)の三において指摘したとおり昨今、日本国内外の複数の大手商業用レコード製造事業者(以下「事業者」という。)は「違法コピーの防止」を名目に大挙して「コピーコントロールCD」(以下「CCCD」という。)と称する音楽用コンパクトディスク(以下「音楽用CD」という。)の規格に準拠していない仕様の録音物を発売している。しかし、CCCDはその仕様が音楽用CDの規格に準拠していないため過去に発売された再生機器はCCCDの再生を想定して設計されておらず、再生機器の生産事業者は正常な再生を保証していない場合が多い。そのため、CCCDの再生が再生機器の故障を誘発する原因となる恐れが指摘されているところである。また、CCCDを発売している事業者の大半はCCCDが正常に再生できない場合でも製造工程上の不良を除き返品・交換には一切応じないことを表明し、ジャケット等にこうした趣旨の免責事項を記載している。前記の問題点について、消費者保護の観点を中心に質問する。

一 平成十四年三月に最初のCCCDタイトルが発売されてから二年余を経過した現在「違法コピーの防止」と言う観点から売上の回復に寄与する効果は立証されたのか。CCCDを採用している事業者と採用していない事業者との間で有意の差が生じたか否かを明らかにした上で、政府の見解を明らかにされたい。

(答弁書)
一について

 お尋ねの「売上の回復に寄与する効果」については、現時点において、政府として特段の検討を行っておらず、お答えすることが困難である。
 なお、お尋ねの「コピーコントロールCD」(以下「CCCD」という。)が初めて発売された平成十四年以降のCCCDを発売している事業者とCCCDを発売していない事業者の音楽を記録したコンパクトディスク(以下「音楽CD」という。)の生産額の推移について、社団法人日本レコード協会(以下「協会」という。)から聴取したところは、次のとおりであるが、音楽CDの生産額は、楽曲の内容、消費の動向等様々な要因の影響を受けるものであり、当該推移をもってお尋ねの「効果」を測ることは困難であると考える。
 レコードの製作を業として行う者(以下「レコード製作事業者」という。)で協会に加盟しているもの(以下「加盟事業者」という。)のうち、これまでに発売したCCCDの作品の数が上位の三社に係る音楽CDの生産額の合計の対前年比は、平成十四年においては八十一・一パーセントであり、平成十五年においては、九十二・六パーセントである。また、CCCDを発売していない加盟事業者のうち、平成十五年における音楽CDの生産額が上位の三社に係る音楽CDの生産額の合計の対前年比は、平成十四年においては百九・五パーセントであり、平成十五年においては九十七・四パーセントである。

(質問主意書)
二 現在、日本国内で発売されているCCCDのほとんど全タイトルがアメリカ合衆国(以下「米国」という。)・マクロビジョン社がライセンス供与を行っている「カクタス・データシールド200」(以下「CDS−200」という。)と呼ばれる方式を採用しているが、平成十四年三月以降二年を経過してなお、音質の低下や再生保証が無いにも関わらず事業者が返品・交換を一切拒否していることを理由に多くの一般消費者やアーティストが敬遠する動きが見られるこの方式を事業者が使用し続けている理由は何であると考えられるか。

(答弁書)
二について

 レコード製作事業者が、自らの商品について、お尋ねの「カクタス・データシールド200」を含め、どのような規格を採用するかについては、消費者、実演家等との関係等を踏まえ、当該レコード製作事業者が事業活動の一環として判断するものであると考えており、お尋ねの「事業者が使用し続けている理由」については、承知していない。

(質問主意書)
三 本年六月五日付朝日新聞夕刊によると、事業者がCCCDでの発売を強制したことを理由にアーティストが契約を解除し、CCCDを採用していない事業者と契約する動きが見られるとのことであるが、このような動きは現行のCDS−200方式によるCCCDでの発売を事業者が強制する行為がアーティストの表現活動を阻害していることを意味するのではないか。このような動きが続くようであれば、事業者に対してDVDオーディオスーパーオーディオCDなどの著作権保護と再生保証を両立した次世代規格への積極的な移行を指導すべきではないか。また、こうした次世代規格が既に存在するにも関わらず、事業者が移行に消極的な理由は何であると考えられるか。

(答弁書)
三について

 「表現活動を阻害していることを意味するのではないか」とのお尋ねについては、何をもって「阻害している」と判断すべきかが必ずしも明らかでないことから、お答えすることが困難であるが、レコード製作事業者が自らの商品についてどのような規格を採用するかについては、当該レコード製作事業者が事業活動の一環として判断するものと考えているところ、お尋ねの「DVDオーディオスーパーオーディオCDなど」の新たな規格の採用について、何らかの指導をすることは考えていない。また、お尋ねの「移行に消極的な理由」については、政府として「消極的」であるか否かなどについて特段の検討を行っておらず、お答えすることが困難である。

(質問主意書)
四 国民生活センターにおいてCCCDに関する苦情や問い合わせが平成十四年三月以降、本年六月三十日までの間に多く報告されていると聞くが、その具体的内容を明らかにした上で、これらの消費者の声をどのように認識し、政府としてどのように対応するか明らかにされたい。

四について

 独立行政法人国民生活センター(以下「センター」という。)から聴取したところ、センターでは、各地の消費生活センターを結ぶ全国消費生活情報ネットワーク・システムを運営し、センター、全国の消費生活センター等に寄せられた使用批正活に関する情報を収集しているところであるが、このうち、平成十四年三月から本年六月までの間におけるCCCDに関する相談の件数は二十九件であり、これらの相談の具体的な内容としては、再生ができない、音質が悪い、再生したところ再生装置が故障したといったものなどが挙げられるとのことである。
 政府としては、CCCDに関するこれらの相談について、その件数が二十九件にとどまっていることなどから、直ちに何らかの対応が必要であるとは考えていないが、引き続きCCCDに関する消費者の意見等に十分な関心を払ってまいりたいと考えている。

(質問主意書)
五 英国のインターネットニュースサイト「The Register」が報じるところでは、フランス及びベルギーでは消費者団体がCCCDを発売している事業者に対して返金もしくは正常に再生可能な音楽用CDとの交換を求めて提訴し、このうちフランスの訴訟では昨年九月三日に消費者団体側の主張を認める判決が下されているが、海外でこうした訴訟が相次いで起こされているのに対して、わが国では現行法で団体訴権が認められていないため事業者側から見てCCCD発売による訴訟リスクが極めて低いものと考えられる。しかしながら、CCCDのジャケットに記載されている「CCCDが再生できない場合でも返品・交換には一切応じない」と言う趣旨の免責表示は、消費者契約法上の問題が生じるのではないか。

(答弁書)
五について

 お尋ねの「「CCCDが再生できない場合でも返品・交換には一切応じない」と言う趣旨の免責表示」(以下「本件免責表示」という。)と消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)との関係については、想定されている事案の詳細が明らかでないことから一概にお答えすることが困難であるが、仮に本件免責表示がCCCDを販売した事業者とCCCDを購入した消費者との契約の条項となっている場合、例えば同法第八条及び十条の規定の適用が問題となり得ると考えられる。同法第八条においては、事業者の損害賠償の責任を免除する消費者契約の条項の無効について規定しているところ、本件免責表示については、同条第一項から第五項までに掲げる消費者契約の条項に該当するとき(同項第五号に掲げる条項に該当する場合にあっては、同条第二項第一号及び第二号に掲げる場合に該当しないときに限る。)には、同条第一項の規定により無効となる。また、同法第十条においては、消費者の利益を一方的に害する消費者契約の条項の無効について規定しているところ、本件免責表示については、民法(明治二十九年法律第八十九号)、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものに該当する場合には、消費者契約法第十条の規定により無効となる。

(質問主意書)
六 CCCDの再生と再生機器の故障に因果関係を立証することは一般に困難であるとされているが、挙証責任はCCCDを発売している事業者と一般消費者のどちらに属すると考えられるか。

(答弁書)
六について

 お尋ねについては、いかなる法令の適用を前提にしているのかなどが明らかでないが、例えば、民法第七百九条の規定に基づく不法行為に係る損害賠償の請求を目的とする訴訟においては、損害賠償を請求する者において、請求を根拠付ける要件である因果関係を立証するものと解されていると承知している。

(質問主意書)
七 CCCDであることが発売直前まで一般消費者のみならず小売店に対しても告知されないまま出荷される事例が見受けられるが、このことは事業者においてもCCCDであることを事前に告知して発売することが一般消費者からマイナスイメージを抱かれるという認識を有していることを意味するのではないか。また、このような商品の購入に際して重要な判断材料となる情報を発売前の段階において故意に周知しないことは、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年五月十五日法律第百三十四号)第四条(不当な表示の禁止)における誤認を誘発する恐れがある行為に該当するのではないか。

(答弁書)
七について

 レコード製作事業者が自らの商品についてどのような宣伝を行うかについては、消費者との関係等を踏まえ、当該レコード製作事業者が事業活動の一環として判断するものであると考えており、レコード製作事業者がお尋ねの「一般消費者からマイナスイメージを抱かれるという認識を有している」か否かについては、承知していない。
 また、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第四条の適用に関するお尋ねについては、お尋ねの事案の詳細が明らかでないことなどから、お答えすることが困難である。

(質問主意書)
八 本年三月八日に提出した衆質一五九第三三号の三において指摘したとおり、日本国内の事業者が発売する日本国内盤がCCCDで発売されているのに対し、米国並びに英国で生産された輸入盤に関しては音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されている事例が見られる。米国及び英国の一般消費者はわが国に比して著作権意識が格段に高い故にCCCDではなく音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されているのか。なお、本年三月三十一日付のインターネットニュースサイト「ITmedia」が報じるように全米レコード協会や国際レコード産業連盟はインターネットを介していわゆるファイル交換ソフトを使用し、楽曲を交換していると思われる北米及びヨーロッパに在住する二百余名の個人に対する訴訟を起こしているなど、これらの団体は欧米の一般消費者が日本の一般消費者に比して格段に高い著作権意識を有しているとの認識であるとは思われないところである。

(答弁書)
八について

 レコード製作事業者が、自らの商品についてどのような規格を採用するかについては、当該レコード製作事業者が事業活動の一環として判断するものであると考えており、お尋ねの「米国及び英国の一般消費者はわが国に比して著作権意識が格段に高い故にCCCDでなく音楽用CDの規格に準拠した使用で発売されているのか」否かについては、承知していない。

(質問主意書)
九 海外事業者の日本現地法人が日本国内において、もしくは日本国内の事業者が海外事業者からライセンス供与を受けた日本国内盤がCCCDで発売されているのに対し、米国並びに英国で生産された同一タイトルの盤(以下「米英発売国外盤」という。)に関しては音楽用CDの規格に準拠した仕様で発売されている場合、著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)第百十三条第五項が平成十七年一月一日に施行されて以降に同項の規定に基づき米英発売国外盤の輸入が禁止された場合は、日本の一般消費者は米英の一般消費者に比して過度の負担をCCCDの購入及び再生時に負うことになるが、内閣衆質一五九第三三号答弁「三について」で明らかにされた見解で、このような状況の招来を是認すべきと考える理由は何であるか具体的に示されたい。

(答弁書)
九について

 レコード製作事業者が、自らの商品についてどのような規格を採用するかについては、当該レコード製作事業者が事業活動の一環として判断するものであると考えており、お尋ねの「状況」について特に問題があるとは考えていない。
 なお、著作権法の一部を改正する法律(平成十六年法律第九十二号)による改正後の著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第百十三条第五項においては、専ら国外において頒布することを目的とする商業用レコード(以下「国外頒布目的商業用レコード」という。)を輸入する行為が著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる要件として、国外頒布目的商業用レコードが国内において頒布することを目的とする商業用レコード(以下「国内頒布目的商業用レコード」という。)と同一の商業用レコードであることのほか、当該輸入する行為が国内において頒布する目的で行われることや、国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることによって、国内頒布目的商業用レコードの発行により著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることなどが規定されており、国外頒布目的商業用レコードが国内頒布目的商業用レコードであることのみをもって直ちに当該輸入する行為が著作権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされることになるわけではない。

衆議院議員川内博史君外一名提出米国で発売された「日本輸出不可」商業用レコードに関する質問に対する答弁書
(質問主意書)
 第一五九回通常国会において著作権法の一部を改正する法律(平成十六年法律第九二号。以下「改正法」という。)が成立した後、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)においてパラソル・レコード社(以下「パラソル社」という。)が本年七月二十二日に発売した音楽用コンパクトディスク「STEREO BLUES」(以下「当該商業用レコード」という。)のインターネット販売に当たってパラソル社は「NOT EXPORTABLE TO JAPAN ― will be released August 10th on Sony Japan」との表記により、当該商業用レコードの日本国内盤が株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下「SMEJ」という。)から発売されることを理由に日本輸出不可商品である旨を告知している。パラソル社は、当該告知について日本の一般消費者からの問い合わせに対し「ライセンス契約に際しての日本国内盤発売元であるSMEJからの要請により、当該商業用レコードの日本への輸出は出来ない」旨の回答を行っている。
 そこで、以下質問する。

一 本年五月二十一日提出の「著作権法の一部改正案に関する質問主意書」において指摘したとおり、参議院文教科学委員会における本改正法案の審議に際して河村建夫文部科学大臣は「この点が確かに皆さんいろいろ御心配をいただいておる点でございまして、この点については、五大メジャーと言われる各社はこの日本販売禁止の表示はしないと、こう言っております。しかし、それ以外の会社もあるわけでございますが、これはその他の洋盤レコード、明確にはいたしておりませんが、いずれにしても、今回の措置によって権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることにはならないだろうと。また、不当に害されることになる場合だけが要件となっておりますから、そういう観点から考えますと、洋盤レコードが不当にはならないだろうという見解、これは、最終的な判断はそれはどこでどう判断するとなると、最終的には裁判所に判断をいただくということになるんでしょうけれども、一般的に言うならば、今回の措置によって、日本に比べて物価が著しく安い国から入ってくるやつを防ぐんだということに限定をしているわけでございますので、洋盤レコードのように欧米諸国から直接入ってくるものについては、内外価格差の問題からいっても、また国外における販売によって得る利益が、国内における販売によって得る利益と比べてもほとんど差がないということから考えますと、今回の措置の対象とはならない」と答弁し、稲葉大和副大臣も同様に「洋楽のレコードにつきましては、いわゆるもう既に御説明をいただいておりますが、ファイブメジャー、ここでは日本の販売禁止の表示をしないで、日本への輸入については権利を行使する考えはないということを明確にしておられるわけでありまして、欧米の洋盤レコードについては今回の措置についてさほどの影響はないものと、そう考えております」と答弁している。しかし、改正法の施行を前にして早くも「NOT EXPORTABLE TO JAPAN」との意思表示により日本のみを販売区域から除外する洋楽商業用レコードが実際に登場したことは、前述の政府答弁が明白な失当であることの証左と言わざるを得ない。政府は、前述の答弁が失当であることを認めるか。
二 SMEJはいわゆる「五大メジャー」の日本法人の一社であるが、当該商業用レコードの日本国内盤を発売するに当たって契約により「NOT EXPORTABLE TO JAPAN」と明確に日本を販売区域から除外する表示をインターネット上で行わせていることが事実であれば、一において指摘した河村文部科学大臣及び稲葉副大臣の答弁によると「明確にされている」はずの権利不行使の意志に反する行動であることは明らかであると考えられる。文化庁は、SMEJを含む五大メジャーの日本法人各社による権利不行使の意志を確認した旨を国会で明らかにしている社団法人日本レコード協会に対して経緯の説明を求め、当該契約条項削除の指導を含む適切な対処を行うべきではないか。

(答弁書)
一及び二について

 お尋ねの平成十六年四月二十日の参議院文教科学委員会における河村文部科学大臣及び稲葉文部科学副大臣の答弁(以下「本件答弁」という。)は、欧米の主要なレコード会社(以下「ファイブメジャー」という。)が、著作権法の一部を改正する法律(平成十六年法律第九十二号)による改正後の著作権法(昭和四十五年法律第四十八号。以下「新法」という。)第百十三条五項の規定に基づいて、欧米諸国において発行した商業用レコードの我が国への輸入を差し止める考えがない旨を国内の関連会社を通じて表明していること、ファイブメジャー以外の会社が、同項の規定に基づいて、欧米諸国において発行した商業用レコードの我が国への輸入を差し止める考えを有しているか否かについては明確でないこと等について述べたものである。
 お尋ねの事例について、文化庁において社団法人日本レコード協会から事情を聴取したところ、パラソル・レコード社(以下「パラソル社」という。)は、「STEREO BLUES」という商業用レコード(以下「当該商業用レコード」という。)の著作権者及び著作隣接権者である「ヴェルヴェット・クラッシュ」と称するグループ(以下「ヴェルヴェット・クラッシュ」という。)から委託を受けて、当該商業用レコードの製造及び通信販売を行っている事業者であり、パラソル社及びヴェルヴェット・クラッシュのいずれについてもファイブメジャーではないとのことである。
 また、当該商業用レコードの日本国内盤を発売しているのは、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントではなく、その子会社の株式会社ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルであるが、これら両社のいずれについても、当該商業用レコードを我が国へ輸出しないようパラソル社又はヴェルヴェット・クラッシュに対して要請した事実はないとのことである。
 これらのことから、本件答弁と抵触するような事実があったとは考えていない。
 なお、ファイブメジャーは、そのうち二社が平成十六年八月に合併しており、現在では四社になっているものと承知している。

(質問主意書)
三の一 当該商業用レコードのジャケット及び盤面に「NOT EXPORTABLE TO JAPAN」ないしそれに類する表記が印字されている場合、平成十七年一月一日の改正法施行後に本件と同様の事例が確認された際は輸入業者が「情を知って」いるものとして取り扱うのか。
三の二 当該商業用レコード実物のジャケット及び盤面には「NOT EXPORTABLE TO JAPAN」ないしそれに類する表記は印字されていないが、改正法の法文上は「情を知って」いることのみが条件とされているので、平成十七年一月一日の改正法施行後に本件と同様の事例が確認された際はジャケット及び盤面に当該表記がない場合であってもインターネット上で「NOT EXPORTABLE TO JAPAN」かつ日本国内盤が発売される旨の告知がなされている商業用レコードであれば日本国内盤が発売されている旨の告知が日本への輸出を禁止する理由に該当するものとみなし、輸入業者が「情を知って」いるものとして取り扱うのか。

(答弁書)
三の一及び三の二について

 お尋ねの場合において、当該輸入業者が新法第百十三条第五項に規定する「情を知つて」という要件を満たすか否かについては、具体的な事実関係を踏まえて個別に判断されるべきものであり、一般的にお答えすることは困難である。

見解は後日記載予定です。是非確認してください。答弁書に問題があれば厳しく追及していこうと思います。