facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

bmr8月号 掲載情報

7/9発売のbmr8月号(表紙はOutkast)、P14にて、6/8に行われたタワーレコードHMVの共同声明が掲載されています。
ちなみに雑誌は本日店頭で並んでいてフライングで手に入れました。

それ以上に今回気になったのが以下の記事です。

  • P118 "Studio Vibe" 「CCCD、現時点ではこう考えるしかない」での鷺巣詩郎氏の見解

先月号の同コラムで鷺巣氏はCCCD問題に触れることを言及していました。その約束通り今月号にて自身の見解を示しています。
鷺巣氏はCCCDについて、未だ(技術面での)詰めが甘すぎることを言及しながらも、(先月号で触れていた)工場によるCDプレスでの音質の差が、通常盤とCCCD盤の音質の差を凌駕する場合があり、またCCCDは音が悪いのではなく、微妙に違おうが同規格のCD等と同質の音である、と示しています。
そしてCCCD普及の一番の要因として、違法コピーが「超えてはいけない一線」を大きく逸脱してしまったことにあり、それについて、テロまがい、という言葉を使用しています。テロまがいの行為として、数年前のEminemのアルバムの音源流出事件を挙げています。ニュースソースがありましたので以下に掲載します。

この事件等を背景にして、鷺巣氏は論調を強めています(と自分は受け取っています。あくまで私見ですので最終的な判断を委ねることになるのですが)。電脳犯罪を防ぐための義務を負う、つまり安全の対価としてCCCDを受け入れるべきとし、最後に以下のように締めくくっています(以下の部分は抜粋させていただきます)。

これからの近未来は「なにもかもすべて安全のために、新しい規制が生まれ、結果なにもかも不便になる」のが世界的トレンドだとしか言いようがない。悲しいかなこれが現実だ。もう一度書く、時代は一変した。

鷺巣氏の発言に、自分自身は辟易した、というのが本音です。
確かに、インターネット時代の現代において、高度な犯罪が起きており、特に違法コピーに関しては、CDをリリースするミュージシャンが頭を痛めているものと考えます。その危機感は、私が想像するより遥かに大きいでしょう。
ただ、上記で鷺巣氏も取り上げたEminemの違法コピー問題(子供達が5ドルで正規盤ほぼそのままの海賊盤を購入し喜んでいた光景に背筋が凍った、と鷺巣氏は記載しています)に関して言えば、まず最初に問題になるべきなのはEminemの音源を盗んだ人間ではないでしょうか。海賊盤を手にして喜んでいた子供達も確かに悪いのですが、彼等に海賊盤が違法であることの警告・啓発をまず行っていかないと彼等にその違法性が分からないのではないか、とも思います。
音源流出被害は、自分の知る限り、2001年のUsher(同年夏にアルバム"8701"をリリースしたが、これはその前の音源流出事件により曲の差し替えを得なくなったもの)、2002年のR.Kelly(自身の事件発覚後、リリース予定だったアルバム"Loveland"が音源流出されてしまい、まさに泣きっ面に蜂状態でした)等多く、それも大物中心に発生し、ネット流出されるとCDでのリリースさえ出来なくなってしまいかねません。であれば、音源を盗んだ人間・ネットに流出させた人間への厳し過ぎるくらいの処罰(見込まれるCDの売上金等の損害賠償)を与えることが重要であり、同時により多くの人へ違法コピーは犯罪であり(無論購入も許されない)、違法行為には巨額の罰金が科せられる等、啓蒙し続けることをまず行うべきでしょう。あまりそのようなことがきちんと整備されていない状況、十分な説明が与えられていない状況下で、日本では一方的に(話し合う余地のないまま)CCCDが導入され、きちんと常識を守っている多くの人間までもが一方的な被害を被るようになってしまいました。何度も言うようですが、このようなことは消費者を罵倒し、あたかも犯罪者予備軍と扱っていると言っても過言ではないでしょう。私達にきちんと情報が行き渡らず音楽権力者の一元的な考えで被害を被っている、そのことを一度も容認した覚えはありません。鷺巣氏の「結果なにもかも不便になる」という言葉がまるで、「私達が不便を甘んじて受けてくれ」と聞こえてしまうのです。考えすぎでしょうか。
今回の鷺巣氏の見解を多くの方にも読んでいただけたら、と思います。