5/15 おおはた雄一『「ラグタイム」発売記念インストアライヴ』＠タワーレコード横浜モアーズ店
メジャー1stアルバム『ラグタイム』を3月にリリースした、おおはた雄一さんのタワレコインストアライヴツアー最終日、横浜モアーズ店のライヴに行って来ました。
同アルバムがタワレコのフリーペーパー、『bounce』のCDレヴューでミニ特集組まれていたのが縁か、全国のタワレコを隈なく回ったおおはたさん。この日の横浜でのイベントがインストアでのラストとなりました。最後とはいえ、それに緊張する素振りは全く見せず、極々自然体で臨んでくれたライヴ。そこにはおおはたさんの穏やかな世界観が溢れ、会場を包み込んでいました。というか、別世界にいざなってもらった感覚を覚えたほど。
なにが別世界なのか…観客が座ってるのです。店内で。驚きでした、というか自分も一緒に行った友人も何の抵抗もなく座っていたのです。気付いたら座ってた、というほうが適切な表現かもしれません。インストアライヴ直前、おおはたさんが発した"座ろうか？"の一言で前方のお客さんが皆座ったのですから。たゆたうような、そんな感覚がライヴ前から会場を満たしてたのかもしれません。おおはたさんが発するやわらかな空気が成せる業、なのでしょう。
開始は定刻の16時前、だったと思います。
以前池袋パルコにあるタワレコに観に行ったのですが、開始時間前に既にスタンバっていて、ライヴはフェードインするかの如く自然にはじまったのを覚えています。今回もそのとき同様に開始時間前から始まってるのかも、と思い会場に赴いたのですが、予感は的中。今回も開始時間直前にスタートしました。そして、始まると回りの音が全く気にならないくらいのギター一本で紡がれた音世界が拡がって行くのです。そういえば、池袋の時は会場はタワレコではなくタワレコが入っているパルコの入口。無論外。車や通りのざわめきが交差する中を、集中力の高いステージで観客を魅了したのですが(外にいることを忘れさせるくらい集中できました)、今回も周囲の音を全く意識させないくらいのおおはたさんの高い集中力が周囲の音を取り除かせてくれた感じがします。
今回のセットリストは下記の通りです。
1.珈琲不演唱(オリジナル:高田渡)
2.夏の朝(新曲？ タイトル違ってたらごめんなさい)
3.おだやかな暮らし
4.あの子の居場所
5.不思議なくらい
6.Cancion Mixteca
出だしの2曲を披露したところで、"インストアライヴで自分のCDからの曲をやってなかった"と言って笑わせてくれたおおはたさん。いかにもおおはたさんらしいな、と思うのです。決まったことをやるのではなく、その日の気分や空気に沿って、奏でたい曲を披露するような感覚が、いかにも自然体な感じがします。
1曲目の「珈琲不演唱」は今年惜しくも他界した高田渡さんの曲。歌詞に出てくる喫茶店って実在することを今調べて知った次第です(歌詞に出てくる"イノダコーヒー"のサイトはコチラ)。別サイトで試聴したのですが*1、なるほどおおはたさんの声はその力の適度な抜け具合や醸しだす味わいが高田渡的だな、と感じました。実にしっくりくるカヴァーです。
2曲目の「夏の朝」は初めて聴いたのですが、ライヴ常連？のお客さんから歌詞違ってるとツッコまれ(る前に自ら"歌詞違うよね？"とバラしてた気が)、"歌詞をその場で作るんだよ"みたいな言い訳でゴマカシてました(笑)
その後CD収録曲へ繋いでいったのですが、アドリブを多様に用いながらも自分の世界を崩さず(いや、むしろ曲の表現を更に増していたように感じました)昇華していく様はただもう見事としか言いようがありません。いつもより美しさを増した(様に聴こえた)ギターの音色とおおはたさんのスーッと心に入りじんわりと沁みてくる歌声が、やわらかな時間を生み出していった…抽象的な表現でもうしわけないのですが、おおはたさんの世界は是非生で観て、聴く以上に感じてもらいたいくらいの空間です。
驚きは、「あの子の居場所」をいつものスチールギターではなく、ギブソンのアコースティックギターを横にして、しかもチューニングを曲のイントロで極々自然に変えながら(チューニング変えるのが曲になるなんて、驚きでした)披露していたこと。ギブソンのギターでスチールに似た音色が出たのも驚きですが*2、自然に歌い奏でるおおはたさんの技はとにかく凄く、素晴らしいの一言につきます。
そしてラストの「Cancion Mixteca」。CDより音数、アレンジを加え強弱も大きくなっていながらも、流れる空気はゆったりな感覚そのもの。リズムに合わせ身体をゆりかごのように揺らすおおはたさん、ギターと声の融合が、これ以上ない安らぎの世界を生み出していました。
全国のタワレコを巡ったおおはたさん。初めての土地も多かったと思うのですが、その場所を温かな優しい空気で包み込んでいったのだろうと思います。おおはたさんの「あの子の居場所」になぞらえれば、その場所その場所で、おおはたさんは自らの居場所を見つけたんだと…そして多くの観客を−ファンであれ、もしくは通りすがりの方をも沁みさせ−魅了していったのだと思います。
ライヴ終了後、サイン会。
実はCDリリース日にCDを購入済だったためサイン会の参加は出来なかったのですが、ご好意でサインしていただけることになったのです。しかも当日購入した、タワレコ限定(当初は下北沢か一部のヴィレッジヴァンガードじゃないと手に入れることの出来なかった)のAMADORI+おおはた雄一『Two of us』にまでサインをいただけるとは…夢のようです。しかも3度くらいしかライヴ先に足を運んでない自分のことを覚えてくださってたのです。もう、とにかく感慨ひとしおでした。
音だけでなく、人柄も本当にあたたかく穏やかなおおはたさん。ライヴに心地良く酔いしれることができ、心から温かくなりました。
長期に渡るインストアライヴツアー、お疲れ様でした。そして本当にありがとうございました。今度は6/19に行われるワンマンライヴで、芯から浸ろうと思います。
○おおはた雄一 ワンマンライヴ
ワンマンライヴ決定!
おおはた雄一 live at CAY
open 17:00 / start 18:00 / 前売 3,000円 / 当日 3,500円
info:CAY 03-3498-7840
チケットは５/14よりチケットぴあ(Pコード:200-636)、ローソンチケット(Lコード:37461)、CAYにて発売。
※東京青山のスパイラルビルB1にあるCAYでワンマンライヴ決定です。
(以上、オフィシャルサイトより抜粋させていただきました)
