facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

2/14『はっぱカスタム』@渋谷多作

渋谷多作恒例の月曜イベント、はっぱカスタム*1を観てきました。

12月、1月と療養していたMCの村守水分さんと、彼の復帰ライヴから立て続けに4度共演している後藤冬樹さんの絶妙な司会の中でライヴは進行。水分さんは復帰間もないのにその掴みどころのない進行ぶりは、高田純次アンタッチャブル山崎かってくらい心が入ってなくて上の空…凄すぎて楽しかった。冬樹さんが何度も軌道修正する姿を見ると、"ふたりともボケ倒してたらなんも進まない"ってこと分かってるな、と(笑)。

開演後行われるくじ引きにより、当日のライヴ順が決定*2。ではライヴ順に即して感想を。


ART (with 古賀久士(key))
ART君の今年初ライヴ(遅いよ!ってツッコミをいれつつ)。昨年秋からサポートの中心を担っている古賀久士君とのセッション。以前はギター1本弾き語りだったのが、信頼できるサポートを加え完全に歌に専念。そのためか、ここ半年で数段と歌ヂカラが上がっています。
ちなみに交互に(最近はあまり観ないものの)サポートを務めていたクラモトキョウコさんは、新しいユニット"moimoi"を結成。クラモトさんサポートでの姿もまた観てみたいところです。
新曲を交えた20分でのステージ*3。バレンタインデーということもあり恋の歌のみでの構成ながら、彼の持ち味であるストイックなナンバーのみ。自称"ひきこもりロック"というスタイル、自分のカラーを着実に構築してきているな、と研ぎ澄まされてきたヴォーカルと流麗なピアノのコラボを聴いて感心。特に冒頭「ブルーレイン」サビのリフレインがより深さを増していて説得力を持っていました。


United Master Kitchen
略してユナキチ。今回2度目のステージ観賞ながら、観客を引き込む力が格段に上がっていて驚かされました。ヴォーカルの方が帰郷してしまい"メインヴォーカル不在"というものの、ヴォーカルをとっていた薬師寺さんの声の力は半端じゃなく、胸倉をつかまれたような感覚。アコースティックロックにあってヴォーカルが激ソウルフル、魂こもった歌い方で真っ直ぐに彼等の世界が届けられました。
何より薬師寺さんとベースのチキさんのコンビネーションが、とりわけMCにおいて秀逸。チキさんの天然ボケと薬師寺さんのヴォーカル並に力のこもったツッコミが可笑しくて微笑ましく、最前列で観ていた古賀君ファンの立野ママさんなんて体を震わせて笑ってたくらい。そのママさんを見つけて「おかぁさんっ!」と何かあるごとに連呼した薬師寺さん、策士です(笑)。完全にMCのやりとりでやられてしまいました。
MCもさることながら、薬師寺さんとチキさんのセッション中ずっと、笑顔が絶えなくて、音を一生懸命に楽しく演る、という姿勢が好感度大です。


風来直
今回のアーティストの中では唯一のピンだった風来"姉御"直さん。風来さんの進行具合が凛として格好よく、男の自分もその格好よさに憧れます。
「永遠」「また明日。」のように優しさや真っ直ぐな愛情を歌った曲(「永遠」をひさびさに聴けて良かったです)が、ストレートに心に響いてきました。(アコースティックの純朴さというのもありますが)余計な贅肉を落として真っ直ぐに伝えようとする風来さんの歌世界は、だからこそ直に身に沁みて届くのかな、と感じます。
加えて、いつも遊びゴコロを忘れない、その姿勢も楽しかった。オープニング「おたまじゃくし」に引っ掛けてステージに登場させたかえるの人形や、ギターにつけた人形(前はジゴロゥさんも!)が、風来さんのステージにほんわかさを加え、より心をほっと優しくさせる、そんな感覚に包まれました。最後はチョコレートを全員にプレゼントするサービスも。
楽しませること、「また明日。」の歌詞に込めた思いから、風来さんが笑顔を大切にするアーティストだな、と実感です。



THREE DEW
3人姉弟からなるTHREE DEW。初観賞…とは全然思えなかった。というのも、物凄く私的ながらメンバーのSHOTAROさんが自分の地元の親友にそっくりで(しかも終了後に話したけど、醸してた優しいオーラまで一緒!)、初めてなのにめちゃめちゃ親近感を抱いてました。しかも、観客で来てたTHREE DEWの母親が同じ県の出身(父も、という!)という偶然も重なり、より肩入れしたくなりました。
姉弟なので声質は似ているのが当然とはいえ、オープニング曲で魅せたハーモニーは単に声質の類似性を超え実に心地良かったですね。なんでも以前は姉妹でteftefというアーティスト名で活動されてたとのことで、その頃からの経験が生きてますね。
秀逸だったのはラストの「となりのアンソニー」(あらためて歌詞を確認したいですね。勝手ながら"『羊たちの沈黙』のレクター博士の如く隣の部屋から覗き見する怖そうなアンソニー・ホプキンス"を想像してしまいましたが(笑)。曲の構成、イントロで奏でられた爽やかなアコースティックポップサウンドはまさに70'sモータウンフレイヴァを現代に再構築した感じ。Michael Jackson「I Want You Back」の華やかさに溢れ、来るべき春にピッタリの見事なポップソングでした。前述モータウンミスチルマイラバ等のフレイヴァを湛えたアーティストとして今後も追いかけたい人たちです。


4組の終了後、投票中にMCの村守水分・後藤冬樹両氏(スタッフの三人娘のひとり、namiさんもキーボードで参加)によるセッション…というかお笑いライヴ? 二人羽織ならぬ二人ギター*4でそれぞれの曲を披露したものの、水分さんの特徴あるギターの弾き方(曲はその特徴が最も生きた「そのままで」。名バラードです)を大袈裟に真似るあまりに冬樹さんは見事に壊れました(笑) 恩返しとばかりに? 水分さんは冬樹さんの「あの日のアイロニー」の際、あまりに淡々とした表情でコーラスやるもんだから、その力の絶妙すぎる抜け加減に、集中して曲を聴けなかったですね。とにかく、超絶のお笑いステージでした(無論曲の力の凄まじさは言うことなし!です)。


今回の最多得票者(最多発破、と呼んでます)に選ばれたのは…ARTさんでした。おめでとう!
初の最多発破で感激もひとしお…なのを抑えて?ストイックなステージを瞬間的につくり上げ、「パッセージ」を披露。
是非ともまた発破を獲得できるくらいに力をつけて行ってほしいです。その前にライヴを増やしてほしかったり(個人的な願いながら。ワガママですいません)。

本当に今回の各アーティストのみなさん、いずれも素晴らしかった!
充実したライヴをありがとうございました。

*1:出演者の中で最も良かったアーティストを観客の投票で選出、投票数1位のアーティストにアンコールを披露していただく企画。詳しくは主催者であるAirDesign『発破道』を参照

*2:なので、最初から観に来てないとお目当てのアーティストを観れない可能性も。ただしこのイベントは早くて19時半スタートなので余裕もって行くことが可能です

*3:はっぱカスタムでは1アーティスト当たり20分

*4:一人がコード進行、一人が弾くという高度?なテクニック