facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

音楽ビジネスを真摯に考えているからこその意見

ふっかつ!れしのお探しモノげっき
「2日ぶりのゲッキも相変わらず法案関係いくつか。」
より。
7/10(土曜)に青山学院にて開催された、日本知財学会の第2回年次学術研究発表会の中のプログラムのひとつ、"著作権シンポジウム ―コンテンツと知財政策―"の中で、音楽業界の老舗レーベル、コロムビアミュージックエンターテインメント株式会社代表執行役兼CEO、廣瀬禎彦氏が興味深い発言をしています。
学会の設立過程、プログラムの内容やディスカッションは、上記の造反有理「価値紊乱者」を是非参照してください。管理人のashramさんによる追記も必読です。

とりわけ興味深かったのは以下の部分です(以下抜粋)。

コンテンツの議論の時には、C (Creator?)-B(Business)-C(Consumer)のうち、Bのところの議論がもっぱらなされている。
(中略)
コンテンツ制作に携わっている者からみると、コンテンツを産業とみるかサービスとみるか、いろいろあるが、コンテンツについて議論するときに一番軸に据えるべきは、作り手(創作者=作曲家、作詞家、演奏家)とそれを利用する受け手である。この2つがまず存在する。この存在は時代がどう変わろうと変わらない。真ん中はいろいろ変わる。SP、LP、CD、DVDなど。従って、コンテンツビジネスをやっている立場からいえば、我々は常にこの2つの軸に目を据えておかなければならない。真ん中にこだわっていると間違った行動を起こしかねない。

Bという音楽コンテンツを扱い商売する者は、時代に変容するBに柔軟に対応し、その時代・世間に最良のモノを提示しなければなりません。
ところが、例えばCCCDの問題からすれば、現在のレコード会社は、(近い将来消えるかもしれない)CDというモノの観点からしか見ておらず、CDがバブル期の繁栄を過ぎ、また携帯等への金銭の流出の理由等で落ち込みが目立ってきたことを認めようとせず、CDを買わないことを対外的な理由にばかりしてその視野を狭くし、最終的に"消費者=悪"という、どの客商売でもあってはならない言いがかりをつけてCCCD、配信の不自由さとして虐げてきています。また、CCCDが同様にアーティストを悩ませ、現に反CCCDを名乗り出て、移籍等で意志を貫く者さえ現れています。とすれば、例で挙げたCCCDによる音楽業界の動向は、廣瀬氏の言うところの『常にこの2つの軸に目を据えておかなければならない』(以上抜粋)点から大きく逸脱している、と言わざるを得ません。
廣瀬氏の発言については、以前もここで取り上げたことがあります。下記のインタビューも興味深いです。

廣瀬氏は真の意味で、音楽業界を良識あるものに変える改革者ではないか、と思います。改革、つまり

リエーター及びリスナー(消費者)を最重視する本来あるべき姿を取り戻す

(造反有理「価値紊乱者」より一部抜粋) という意気を感じます。
客商売では当たりのことである、といってしまえばそれまでですが、その基本を多くのレコード会社は考えていないことを皮肉にも感じ取ってしまいました。