facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

富塚勇氏の侮辱

上記のタイトルはかなり厭らしい表現ですが
万来堂日記 5/31付「レコード輸入権創設問題にかんするトピックスいくつか」にて、日本レコード協会の人間が過去に発言された内容が記載されていました。そのサイトから辿ると、関心空間「日本レコード協会の言い分」(追記による補足が有ります)経由で、社団法人日本レコード協会が2002年4月18日にプレスリリースとして発表した、以下の記事に行き着きました。

悪しき(と断言します)CCCDの市場導入にあたり、「CCCD推奨マークの発表にあたって」との題で、社団法人 日本レコード協会会長、富塚勇氏のコメントが掲載されています。
(以下、一部抜粋)

技術の進化は、人間の生活に利便性をもたらし、文明文化の向上に資すると同時に、それを悪用すれば人の財産を容易に侵害し、文化を崩壊させる凶器ともなります。
 デジタル技術の進化が音楽文化に与えている現実は、その典型的な例であります。
悪用をなくすには、先ずは人間の常識やモラルの向上に期待していますが、それを待つだけでは悲しいかな「百年河清を待つ」(注…黄河はいつも濁っている。それが澄むのを待っていては、百年あっても足りない。つまり、幾ら待っても仕方がないことのたとえ。「今日の一言〜百年河清を待つ〜」より)に等しく、悪貨が良貨を駆逐してゆくのが現実であります。

まるで消費者が悪人とでも言わんとする発言内容です。無論それに依る犯罪はないわけではありません。がしかし大半のリスナーはそのような犯罪者ではないのです。それを十把一絡げに言うのは、言われて納得できるどころか余りに許しがたい言動です。
そして、「複製制御(コピーコントロール)CD表示運用基準の制定・発行」を取り上げたITmedia News「レコ協,コピーコントロールCD普及に向け環境作り」では、富塚氏の会見での発言が取り上げられています。
(以下抜粋)

敵は「パーフェクトクローン」
(中略)
富塚会長は会見の席,オリジナルとパーフェクトクローンの2つのパッケージを手に取り,「こんなものが,自宅で簡単に作れるようになっている。コストもたかだか100円くらいだ」と憤り,さらに,その鉾先を中古CD販売店に向けた。
 「中古CD販売店は,全国に約7600店ある。普通のCD販売店が約8000店だということを考えると,これは非常に恐ろしい数字だ。そもそも,中古CD販売店というビジネスが成立するはずがない。本は1回読んだら,映画は1回観たらもう用済で中古に売るのは理解できる。だが,音楽は何回も繰り返し聴くものである。それなのに,中古が出回るということは,パーフェクトクローンを手元に残し,オリジナルを売っているからだ」(同会長)。

そもそも中古CD販売店が成立しないなら、本や映画ソフトの中古販売店が(「売られるのを理解できる」という発言内容から)成立するのはおかしいですし、その上「本は1回読んだら,映画は1回観たらもう用済」という観点は、あたかも著作権保護はCDの観点からのみ利用されるもの、と言っても過言ではないでしょう。CCCD導入の経緯が単純な利益確保の為の諸作としか考えられないのです。
最後に、「知的財産戦略会議(第1回)議事録」での富塚勇氏本人の発言を以下に抜粋します(関心空間「日本レコード協会の言い分」より。会議の開催は2002年3月20日)。

 中古店と、多くの学生の間を同一CD(注:私的複製CD、の意)がぐるぐる回転して、著作権使用料は一銭も払っていない。これが今、日本ではやってきている現象で、レコードの出荷が、初回に出荷してバックオーダーが、急激になくなってくるという危機的な状況でありまして、著作権の法律はちゃんとしているんですけれども、今、こういう状況が著作権30条の私的複製というもので認められるのかどうか。法のエンフォースメントは非常に大切だと思いますので、御報告します。

エンフォースメントとは「法執行」のことです。
つまり、第1回目の会議の段階で、富塚氏はCCCDという悪行を当然の事、と音楽業界の指針を訴え、終いには(それでも売上が回復しないのを理由に)著作権法改正へ、と「知的財産戦略」という名を借りた、法による執行へのプロセスを作り上げることを、意図した発言だった、と言えるでしょう。
こうなると、法執行が当然行われるべきこととして、パブリックコメントの改竄とされる内容その他全てにおいて、邪魔者は消すという愚行が当然の如く行われたのではないか、と言えます。