facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

5/27 19時〜 横浜市民集会について

レポートは以下のサイトに掲載されています。

そして自分も書かせていただきます。

集会では、まず民主党佐藤謙一郎議員より挨拶がありました。
今回の問題を取り上げたのはある市民のメールがきっかけとなったこと。市民の意見とは対照的に永田町では「組織」(会社や役人等)から発信される情報だけで9割を占めていることや、輸入権については昨年文化庁が「還流防止措置」という言葉に切り替えてあり、多くの政治家がその言葉を鵜呑みにしてしまったことで、消費者を置き去りにして権利者のみが審議しているような状況があり、そのことに疑問を抱き、民主党ホームエンタテイメント議員連盟を設立したという経緯が説明されました。

続いて、同議連事務局の湯川憲比古氏より経過報告。
文化庁が政治家へ説明して回ったという説明用紙(4枚綴り)を示し、2頁以降では「国外において頒布することを目的とする『商業用レコード』」と書かれているのに対し1頁での「還流盤」云々という言葉に、多くの政治家が「これは海賊版対策なんだ」と納得してしまったことを説明されました。(中村敦夫参議院議員が、参院で賛成後に、音楽関係者等へ発信したメールにて、「海賊盤対策だと思っていた」という認識だったことを示し、詫びていたそうです)
改正案については、本来は廃案が望ましいが、党として修正案をまとめたとのことです。そちらについてはれしさんのブログ(上記掲載)より一部抜粋させていただきます。

この修正案、実は見直し規定のみ。但し、これは民主党のエンタメ連盟としての修正案ではなく、党としての修正案なんだそうだ。いくつかのステップを経て、最終的にネクスト・キャビネット(NC)閣議まで進み、今回のような形になったようだ。但し、参院で全ての会派が賛成してしまっているものを今の段階から覆すのは困難だったようで、現実的な路線を採った結果、このような形に。ちなみにこの見直し規定が入ることになると六法にもこのような形で入り、万が一、著作権者が輸入権を行使しようとした際に牽制する効力を持つようだ。つまり附帯決議よりも遥かに重みのある言葉なのだ。なもんで、現在はどうしても法案を通したいという与党サイドとの調整に苦慮してるようでもあったが。

権利行使側の5大メジャー等は六法全書での「きちんと法として明記された文章しか見ない」為、修正案を六法全書にきちんと書き込むことが必要ということです。六法全書に書き込まれなければ権利行使したいときにいつでも出来てしまう、との懸念をと川内議員。最善策はあくまでも廃案、とおっしゃっています。

その川内博史衆議院議員から、衆議院審議の状況が説明されました。以下は、Midge大佐の掲示板(上記掲載)のいっしーさんのレポートから一部抜粋させていただきます。

今回の衆議院での審議は5月28日に5時間の委員会内での質疑、
6月1日にレコード協会依田会長、漫画家弘兼憲史氏(推進派側)、高橋健太郎氏、
Amazon日本法人社長ジャスパー・チャン氏(反対派側)を迎えての参考人質疑。
6月2日に再び委員会内での質疑があり、午後に採決までいけるか、となっているそうです。
民主党としては、本日修正案(見直し規定を本法案に含める)を党議決定して、
少なくともこの修正案を可決させるとのことです。
そうすると、参議院本会議に差戻し→年金問題で空転中→廃案の可能性が出てくるわけです。

川内議員は、この法案が通ってしまえば、今後ゲームについてやCDの個人的なコピーについて保証金が必要となるような法改正に適用され得る、との懸念を示していました。
また、現在川内議員は、与党幹部と修正案についての論議を行っている(集会中も電話対応に追われていたことあり)、とのことです。
尚、川内議員の発言内容で、「保護を要求する業界ほど駄目になっていく」という内容の発言がありました。強く共感を覚えました。

続いて、音楽評論家藤川毅氏のアピール。
今回の法改正が仮に施行されれば、音楽業界は輸入盤流通以前の状況になると同時に、違法コピーが増える(これが著作権者にとっての一番の危機)との懸念を示しました。その後、今回の集会までの経緯(朝日新聞の会議の席上での高橋健太郎氏とピーター・バラカン氏の話し合いからシンポジウム→5/13の記者会見:記者会見に関しては、5/28審議の2週間以上前に会見することで週刊誌掲載に間に合う、等の理由で5/13に開催)や、現在の改正案反対への賛同者が二次・三次を含め800名以上になっている、と説明。
藤川氏は「レコード会社と一緒に、音楽を楽しめる文化を創りたい」との想いを表し、「レコード会社のやり方(消費者=性悪、というレコード会社の見方)は逆行している」。また「再販制度」と「輸入権」はどちらか一方にすべきであり、以前からその話し合いをオープンな形でするべきだった、輸入権に対し文化庁日本レコード協会は説明責任をされていない、と言及しています。
特に印象深かったのは(昨日もちらっと触れましたが)、5/13の記者会見と5/27では、取材記者の認識が変わっている、ということ。5/13の段階では記者は「でもこのままだと改正案は通りますよ」という認識(程度でしかなかった)が、5/27に記者に聞いてみると「ここまで来るとは思わなかった」と驚いていたとのこと。認識の変化を察し、政治を少しでも変えることができる、と話していました。「政治に対して足を突っ込んだことを決して後悔していない」と藤川氏。
仮に施行された場合は見守っていく必要がある、とも話しています。

その後、1時間以上に渡って質疑応答がありました。
自分が特に重要だと思った箇所を列記します。

  • 修正案について
    • 修正案が可決すれば参院に戻る(ただし参院では本会議のみ)。現在の国会は年金問題で大きくもめており、来週空転する可能性もある。その場合、参院の本会議が開かれず廃案の可能性も。キーパーソンは西田吉宏参議院国会対策委員長国会対策委員長は、審議される法案の順番を決定する大きな立場にあり、逆に言えば国会対策委員を動かせず審議が遅れ、廃案になった場合、説得できなかった人間は無能呼ばわりされる為、審議を提出する担当者は是が非でも通したいと考えている、とのこと。
  • 輸入権について(質問内容は多岐にわたっていたのですが、その中から)
    • 藤川氏曰く、輸入権著作隣接権者の保護のみ、つまりレコード業界の保護のみにあたる、と。
  • 河野太郎議員について
    • 川内議員曰く、河野議員とは友人であり、修正案には賛成してくれているとのこと。
  • 改正案が可決、施行されてしまった場合の責任の取らせ方
    • 国家賠償請求は訴訟を起こすことが可能。私達は情報を取りまとめ共有していくことが重要。以下は情報共有についてのれしさんのブログより一部抜粋させていただきます。

法案が通った場合。
現段階では、まだプランニングの段階で、今後実際にそうなった時に、じょじょに確立していくものと思われる。実際、来年1/1〜この法案が施行され始めるが、じょじょに商品のほうにも影響がでてきた場合、例えばamazonで買えるはずなのになかなか来ないとか、輸入盤屋で予約したのに来ないとか。そんな情報を収集して、共有するシステム作りも検討しなきゃいけないだろうと。そうやって、どんどん証拠を増やすじゃないけど、ホントに輸入盤が何ら問題なく買えるのかという部分をアタシたちがしっかりチェックしていくという形。

そして個人的に大きかったのは、タワーレコード側からの発言内容。Midge大佐の掲示板(上記掲載)のいっしーさんのレポートから一部抜粋させていただきます。

最後にはタワーレコードの人(広報担当?)が発言して、
声明文は確かに書き方が悪かったかもしれないが、
タワーとしては洋盤輸入禁止には断固として反対との表明をし(日経産業新聞にものったらしい)
万一、可決しても輸入盤商売を今までどおり頑張る、ということで、拍手喝采されていました。

小売業者に対しては昨年10月にヒアリングがあった、とのことで、タワレコ側も、還流防止には賛成したものの、輸入盤全体の規制になるとは思ってもいなかった、と話していました。輸入盤規制は当然困る、とし、文化庁に意見を提出(この件は、先日高橋健太郎氏のコラムでも記載されていました)。輸入盤全体の規制になった場合には断固反対し抗議していく、との姿勢を示していました。輸入盤(によって作り上げてきた)文化について、これまで25年間取り組んできた自負がある、というタワレコ側の熱い意思を感じ取ることが出来ました。

最後に今回の主催者からの挨拶。
藤川氏「楽しい音楽を楽しく聴いていきたい、その手助けをやっていきたい。本当に音楽を愛する人達が音楽を愛せる環境を作りたい」
川内議員「何らかの形で法律に結実させたい。(市民も含め)それぞれの立場で努力して欲しい。業界のエゴだけを剥き出しにした法律には我慢がならない。皆さんの想いが政治に反映させられる政治家を選んで欲しい」
佐藤議員「今の法律は市民の皆さんの呼吸が伝わらない。『市民立法』という方法がある。(市民立法については「市民立法機構とは」を参照してください) 現在は、知的財産権の管理、姑息な利用が見られている(発展途上国での農作物に対する管理等)。今日はヤマでありはじまりでもある。今後、市民集会等積極的に実施して欲しい』

今回参加して、法改正の裏(内幕)や今後の懸念が改めて見えたという実感もありますが、一歩一歩着実に反対する方の意見が反映されてきているということを実感することが出来ました。無論、最終的に法案が修正案なしに可決されてしまった場合に最悪の事態になり得るとの危険性も考えてしまいますが、仮にそうなった場合でも、ネット等での情報の共有や団結力(メディア報道の少ない段階であれだけ多くの署名が集まったのはひとりひとりの力の結集に他ならない、と思います)で、法律の姑息な利用がないかを監視し、あれば告発することが重要です。ひとりひとりの政治参加がきわめて重要で、無関心だったり、それを装ったりしてなんかいられないと実感しています。

集会の主催者の皆さん、本当にありがとうございます。これからの正念場、私も注意深く見守ります。