今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける実務の取り扱いに関する質問主意書の答弁書
(情報元:謎工さん@melma!blog [The Trembling of a Leaf -「音楽障壁」粉砕編-])
新たに、別の質問主意書に対する答弁書が届きました。こちらも謎工さんのブログよりです。提出日、答弁延期、期限日とも全て上記の質問主意書と同日です。
(以下抜粋)
(質問主意書)
今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける実務の取り扱いに関する質問主意書
一 左記の各場合、米国のレコード会社から特定の音楽CDの輸入差止め申請がなされたとき、税関当局としては、当該音楽CDが国外頒布目的商業用レコードであるとの情を輸入業者が知っているものとして取り扱うのか。
① 当該音楽CDジャケットに「US Version」と印刷されている場合。
② 当該音楽CDジャケットに「US Only」と印刷されている場合。
③ 当該レコード会社が当該輸入業者に対して送達した内容証明郵便(「当社が並行輸入を禁止している音楽CD一覧」が記載されており、その中に当該作品を含んでいるもの)の写しが提出された場合。
④ 当該レコード会社が当該輸入業者に対して送達した内容証明郵便(「当社が米国内で頒布している音楽CDは専ら米国内で頒布されることを予定しており、日本国内に輸入することは禁止されております」旨の記載のあるもの)の写しが提出された場合。
⑤ 当該レコード会社の代表者が「当社が米国内で頒布している音楽CDは専ら米国内で頒布されることを予定しており、日本国内に輸入することは禁止されております」旨答えているインタビュー記事が掲載されている日本経済新聞の写しが提出された場合。
⑥ 米国盤とは全く異なる価格で頒布されている日本盤が提出されたとき。(答弁書)
一についてお尋ねの各場合において、当該音楽CDが、今国会に提出している著作権法の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)第百十三条五項に規定する専ら国外に於いて頒布することを目的とする商業用レコードであるとの情を知っているかどうかについては、次のとおり判断することとなる。
(1)については、「US Version」との文言は、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであることを必ずしも意味するものではなく、その文言の印刷があることをもって、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであることを必ずしも意味するものではなく、その文言の印刷があることをもって、当該音楽CDが
専ら国外において頒布することを目的とするものであることを必ずしも知りうるということにはならないと思料され、輸入業者がその情を知るものと取り扱うことはできない。
(2)については、「US Only」との文言は、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであることを必ずしも意味するものではなく、その文言の印刷があることをもって、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであるとの情を必ずしも知り得るということにはならないと思料され、輸入業者がその情を知るものと取り扱うことはできない。
(3)については、当該内容証明郵便(「当社が並行輸入を禁止している音楽CD一覧」が記載されており、その中に当該作品を含んでいるもの)では、並行輸入を禁止する理由が明らかではなく、当社が並行輸入を禁止している音楽CD一覧」に記載されている音楽CD(以下「一覧CD」という。)が専ら国外において頒布することを目的とするものであることを明確にする記載があり、当該音楽CDが当該一覧CDに含まれていることを識別することが可能な表示が当該音楽CDに記載されていない限り、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであるとするものであるとの情を必ずしも知り得るということにはならないと思料され、輸入業者がその情を知るものと取り扱うことはできない。
(4)については、当該内容証明郵便(「当社が米国内で頒布している音楽CDは専ら米国内で頒布されることを予定しており、日本国内に輸入することは禁止されております」旨の記載があるもの)では、当該音楽CDが当該内容証明郵便の記載の内容の対象であることを識別することが可能な表示が当該音楽CDに記載されていない限り、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであるとするものであるとの情を必ずしも知り得るということにはならないと思料され、輸入業者がその情を知るものと取り扱うことはできない。
(5)については、当該新聞記事を輸入業者が必ずしも知り得るとは限らないので、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであるとするものであるとの情を必ずしも知り得るということにはならないと思料され、輸入業者がその情を知るものと取り扱うことはできない。
(6)については、米国盤と価格の全く異なる日本盤が税関に提出されたとしても、価格が全く異なることが、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであることを必ずしも意味するものではなく、米国盤と価格の全く異なる日本盤が税関に提出されたことをもって、当該音楽CDが専ら国外において頒布することを目的とするものであるとの情を必ずしも知り得るということにはならないと思料され、輸入業者がその情を知るものと取り扱うことはできない。(質問主意書)
二 米国のレコード会社から特定の音楽CDの輸入差止め申請がなされた場合、「当該国外頒布目的商業用レコードが国内で頒布されることにより当該国内領布目的商業用レコードの発行により当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる」として輸入を差止めるか否かをどのような基準に基づいて判断するのか。また、その判断のために、差止め申立者に対し、どのような資料の提出を求めるのか。(答弁書)
二について法案第百十三条五項にいう「当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合」については、権利者に与える法的影響を考慮して判断することとなるが、具体的には、専ら国外において頒布することを目的とする商業用レコード(以下「頒布目的商業用レコード」という。)が国外で一般販売されることにより得られる利益と国内において頒布することを目的とする商業用レコードが国内において一般販売されることにより得られる利益の差が基本的な判断基準になるものと考えている。このため、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第二十一条の二第一項の規定に基づき、当該商業用レコードが輸入禁制品に該当するか否かの認定手続を執るべきことを税関長に対し申し立てる者には、双方の商業用レコードに係る複製及び頒布の許諾に係る対価を算出する条件等が記載された契約書などの提出を求める予定である。
(質問主意書)
三 ジャケット等に「日本国内頒布禁止」との表示のない音楽CDの並行輸入品を販売している大手レコードショップが、当該音楽CDは国外頒布目的商業用レコードであるから直ちに廃棄するように当該音楽CDを発行している米国のレコード会社から要求されたにも関わらず、在庫品を店頭から撤去することなく販売し続けた。すると、当該米国レコード会社が当該大手レコードショップを著作権法違反の容疑で刑事告訴した。本事例において検察としては不起訴(嫌疑なし)として取り扱うのか。(答弁書)
三についてお尋ねは、法案第百十三条第五項に関し、一定の事実を仮定して、著作権法違反による告訴がなされた場合における検察当局の取扱いについて問う趣旨と思われるところ、検察当局における具体的事案の取扱いは、個別具体の事実関係を踏まえてなされるものであるので、一概にお答えすることができないが、一般論として申し上げれば、個別の事案について著作権法違反による告訴がなされた場合、検察当局において、適切に対処するものと考える。
(質問主意書)
四 文化庁著作権課は、今回の著作権法改正がなされても洋楽CDの並行輸入を阻止するのに輸入権が活用されることはない旨再三述べている。大手レコードショップが洋楽CDの並行輸入品を大量に仕入れて店頭に置いたところ、米国のレコード会社から並行輸入品を直ちに廃棄するようにとの警告を受け廃棄を余儀なくされた。この場合、当該レコードショップは仕入れに要した費用や廃棄に要した費用等の損害を被ることになるが、この損害については国家賠償の対象となるのか。(答弁書)
四について特定の行政庁の行為に係る国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)上の賠償責任の有無については、個別具体の事実関係を踏まえて司法により判断されるものであるが、一般論として申し上げれば、例えば、平成十六年四月二十日の参議院文教科学委員会において文化庁は、欧米の主要なレコード会社五社が、欧米諸国において発行した商業用レコードについて、法案第百十三条五項の規定に基づいて我が国への輸入を差し止める考えがない旨を述べているが、このように国会に提出している法律案について、当該法律案の所管省庁が了知している事実を説明する行為が、直ちに国家賠償法上の責任を負うべき行為と判断されることはないものと考える。
(質問主意書)
五 今回の著作権法改正は、これにより創設される輸入権の権利者のうちの特定の類型に属する者(この場合、洋楽CDの著作権者等)が権利行使を控えることを前提に、法案が起草されている。このような前例があるのか。(答弁書)
法案第百十三条五項は、お尋ねのように特定の類型に属する者が権利行使を控えることを前提に起草したものではない。(質問主意書)
六 本年七月発行の日米租税条約との相乗効果により、米国に本店を置くレコード会社ないし当該レコード会社が過半数の株式を保有する日本現地法人(いわゆる「五大メジャー」のうち東芝EMI、ワーナーミュージック・ジャパン、ユニバーサルミュージックの三社がこの条件に該当する。残る二社のソニー・ミュージックエンタテイメント及びBMGファンハウスも将来、米国の統合持株会社「SONYBMG」へ日本現地法人株式の過半数が譲渡された場合はこの条件を満たす事になる)が輸入禁止措置を実行した場合、それによって増加が見込まれるレコード会社の収入への課税は全て米国の税収となり、米国から見れば「日本の税収を減少させて米国の税収を増加させる」という「国家的メリット」が明らかに存在するものとみなされるが、文化庁はそれを認識しているのか。また、認識しているならばそれが「輸入禁止措置を実行するメリット」には該当しないと考える理由は何か。(答弁書)
六について仮に、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の権利者が法案第百十三条第五項の要件をすべて満たしたとしても、当該権利者の総収入が確実に増加するとは限らないため、必ずしも合衆国の税収が増加するものではない。
また、平成十六年四月十五日の参議院文教科学委員会において依田巽参考人が発言しているとおり、欧米の主要レコード会社五社は、法案第百十三条第五項の規定に基づいて我が国への輸入を差し止める考えがない旨を国内の関連会社を通じて表明しているところである。
合衆国の居住者が受益者となる著作権の使用の対価であって日本国内で生じたものについては、これまでその十パーセントが我が国において源泉徴収されていたが、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約(平成十六年条約第二号)が適用開始となることにより、かかる源泉徴収は行なわれないことになるものと承知している。