facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

Sony BMG "セキュアCD"問題についての、5つの提言

アメリカで今春導入を開始した"セキュアCD"について、現在大問題となっているのはご承知の通りです。
下記に関連サイトを記載しますので、ご参照ください。

この問題に関し、現在米法人はもとより、日本法人までもが沈黙を続ける事実を踏まえるに、彼らの企業倫理/体質が問題であると言っても過言ではないと考えます。Sony BMGの幹部は今回のセキュアCD発売停止を"一時的なもの"としていることから、復活は十分に考えられ、同時にコピーガードを施す姿勢を変えてはいません。そのことも糾弾して然るべきです。

さて、今回の件が単なるSony BMGの問題だけに留まらないものと考え、以下に、今回のセキュアCD問題に対する5つの提言を記載します。

Sony BMGグループ(日米)は今回の件に対する謝罪およびセキュアCDの永久的販売停止を宣言する。
 同時にセキュアCDソフトインストール済全PCへの無償サポート、セキュアCDの通常CDへの無償交換等を全社的に(世界共通で)実施する。

セキュアCDを日米でリリースする(東芝)EMIも同様に、今回の件を踏まえた姿勢を明確化させる。発売禁止の有無に関わらず、まずは宣言する。

③日本のマスメディア(テレビ/新聞)にて今回の事実を報道する。

アメリカのアーティスト、および一般市民に向け、日本のCCCDの現在までの経緯(導入からほぼ全レコード会社での撤廃まで、等)を理解してもらうべく情報を発信する。

アメリカがセキュアCDを導入した目的のひとつと見られる"海賊盤"について、"セキュアCD"抜きで対策を講じる。また、今後は海賊盤制作/販売の犯罪者への罰則を強化すべき。


①について、謝罪および今後の対応を公表することは、企業責任として当然の責務であることは明白です。こちらについては、パースペクティブ・アイ『我が家にもrootkit。ソニーはなぜ声明を出さない?』にもっともな意見が掲載されていますので、そちらをご覧ください。


②については、アメリカでSony BMG同様にセキュアCDをリリースする企業であれば、会社での認識や今回の報道後の対応/認識の変化等を示すのは当然のことです。何よりも、事態の沈静化を待っているかの如く何も意見を述べないというのは一部の政治家的な逃れ方であり、もっとも卑怯な手段であると考えます。日本では、東芝EMIが日本唯一のセキュアCD販売会社であることから、東芝EMIのコメントは必須でしょう。
さらにはEMIグループは"iTMSで価格改定の可能性"を示したり、"日本への輸出用のみCCCD"という方策を採ったり、と卑劣な手段に出ているようなのです。ここまで来れば、セキュアCD以外でも、まず最初に企業倫理について問いただし、糾弾も辞さないと考えることが適切でしょう。


③についてですが、XCP「rootkit」の組み込み済PCは、日本が最多で21万台であるという専門家の指摘がなされています。数字が合っているか(アメリカよりも台数として多いのは何故かという疑問はあります)はともかく、極端ながら1台でも導入されてしまっている限り、販売元の責任は問われ続けますし、問い続けないといけません。
しかし、すべてのセキュアCD購入者を割り出すのは到底不可能なことを考えると、まずは呼びかけが必須となります(これは、企業が①を行おうとしない場合、<表現は悪いですが>強攻策に出る際の人数集めとしても有効でしょう)。その際、音楽業界でこれだけ社会現象化していることを踏まえると、広く認識してもらわないといけないのではないか、と考えるのは自然でしょう。セキュアCDを導入したばかりに、PCに異常をきたし、周辺PCまで関与させてしまいかねないという事実を"放置"してしまっては、事態は悪化するばかりです。たとえPCに異常がない場合でも、"潜伏"している限り不安は一掃されません。
認識に必要なものは報道である、と考えます。NHK、民放、新聞等が同時多発的に報道し、広く国民に意識付けさせる必要があります。

これはややもすれば大袈裟な発言に捉えられるかもしれませんが、以前輸入CDに関する著作権法改正問題を追った際、同問題がほとんど世間に知られることのないまま、法案が可決されてしまったという苦い事実があるのです。その際報道したネット以外での機関は、J-WAVE(平日夜のニュース番組。特集も組まれ真摯に追いかける)、TOKYO FM(特別番組を日曜深夜に放送)、テレビ朝日夕方、TBSの報道番組程度に過ぎません。単に自分が追い切れてないだけかもしれませんが、この事態を踏まえるに、音楽系ニュースを取り上げようとしないのか、もしくは諸事情で"自粛"しているのかと勘ぐってしまうのは自然なことでしょう。

テレビ/新聞等の報道については、各ブログを拝見する限り、不信感を強める方も多くいらっしゃるように見受けられます。今回の件を報道してくれるメディアは、消費者側についた強い味方であり客観的な見方が出来るものとして信憑性を与えられるのではないか、とも思います。そういう意味でも報道は必須であり、希望します。


④についてですが、セキュアCDの導入は、消費者の認知もほぼされないまま、さらにはアーティストまでもが知らされないままに勝手になされた、というのが大方の見解のようです。アーティストにはセキュアCD導入を前以て知らなかったことについて、消費者への背任行為として反省してほしい、という思いもありますが、まずは認知度を高め、なぜセキュアCDが一方的に導入されたかの背景を知るべきであり、知ってほしいものと考えます。

日本ではCCCDは"消費者は(コピーをする可能性を秘めた)潜在的犯罪者"と見なされたことで導入されてきました。この件について、最終的にはほぼ全社でCCCDが撤廃されましたが、消費者へのレコード会社への不信感を強める結果となり、現在に至っています。しかし、その"潜在的犯罪者"と見なされているという漠然とした考えを、終ぞ明確化することは出来ませんでした。

アメリカはこの明確化について、訴訟大国と呼ばれるように、裁判という形で具現化できるものと考えています。現に、訴訟の動きは数多く出てきており、仮に日本での見なされ方が紹介されればレコード会社敗訴への追い風になりうるのではないか、と考えているのです。

CCCD導入以降、対立の溝を深めてきたレコード会社と消費者。その構図はレコード会社の誤ったプライドから生じたものであることは、輸入権問題、関連するJASRACの横行等からも明らかです。音楽を聴く喜びを奪った以上、その罪はいかに重いのかを明確な罰則にて示されるべきであり、敗訴(するものと仮定して、ですが)後は消費者と二人三脚で立て直すべきである、と考えます。

少し話は逸れましたが、たとえ裁判沙汰ではなくとも、広くアメリカ国民に認識を広めさせることで、今後の別な形でのコピーガード導入も防げるはず、と考えます。
そのためには、たとえばCCCD問題をまとめたブログや、音楽配信メモ津田大介氏の著書『だれが「音楽」を殺すのか?』の英訳書籍の販売等が有効といえるでしょう。


⑤についてですが、日本よりはるかに、アメリカでは"海賊盤"が横行し、また正規音源の流出(EminemMadonna等アーティストがこぞってこの問題に悩まされてきた)が大きな問題となっています。この事実がアメリカをセキュアCDに向かわせたと考えるのは、納得できないまでも自然なことでしょう。セキュアCD導入はコピーを禁止し、私的録音の自由さえ奪うことで許すことはとても出来ませんが、コピーガードに問題がある以上、今後は、通常CDでの発売を確約することと合わせて、いかに海賊盤を禁止させていくように考えるか、それが企業、消費者、アーティストが三位一体で考えなければならないことのはずです(そのためにも④は重要な手段といえます)。

海賊盤の横行は、最近日本でもほんの少しながら見られてますが、アメリカでは日本よりはるかに問題になっていると伺っています(正式な事例がないのが申し訳ないのですが)。がしかし、その悪行を行うものは、全購入者のうちほんのわずかであり、そのわずかを規制するために善良な市民が不快な思いを強いられてきたわけです。かといってそれを理由にセキュアCD導入を認めるつもりは全くありませんが、だとすれば現法律での罰則規定を強化し、企業はもちろんのこと市民をも裏切った行為には厳罰を下すことが重要になるのではないかと考えます。


以上5点、自分なりの意見を記載してみました。
今後も報道等を追い続けていきたいと思います。