facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

日本の国語力は"権利行使"で低下する

大袈裟なタイトルかもしれませんが、自分の正直な感想です。

ふっかつ!れしのお探しモノげっき『もうひとつの著作権問題。』経由。テストの際に『「教科書を読んでこたえるもんだい 『鳥のちえ』を読んでこたえましょう。53ページ10行めから、55ページ9行めまでを読みましょう」』(記事より抜粋) とあったら、手間がかかることこの上ないと思いませんか? しいては、赤本にも長文が割愛されるケースが発生しているということ。
この理由は下記の通り。

長文が掲載されていないのは、株式会社・日本ビジュアル著作権協会(JVCA、曽我陽三理事長)に著作権の管理を委託している児童文学者らの作品だ。JVCAの会員数は237人で、05年の小学校国語教科書に載っている全作品のうち約2割が同会員のものという。テストなどに使うことに関し、会員と多くの教材出版社との間で合意が成立していないのだ。


 教材出版社で作る社団法人・日本図書教材協会(日図協)によれば、全国の小学校の7割ほどが、教科書準拠型のテストを導入している。1学期分260〜280円ほどで、テスト代は普通、保護者が負担している。

 大手教材出版社8社のうち、JVCAと合意しているのは明治図書だけ。それ以外の7社のテストで、こうした「長文欠落現象」が起きている。99年に、JVCA会員の詩人・谷川俊太郎さんら9人が著作権を侵害されたと東京地裁に訴えたのがきっかけだった。来月には作家ら約30人が教材出版社約30社を相手に第3次訴訟を起こす予定だ。

 ある大手予備校で今春からJVCA会員の作品を、教材や模擬試験に使わないことにするなど、波紋は広がっている。

(以上、記事より一部抜粋)
谷川氏等の訴えを全く意に介さないつもりはないのですが、テストというのは国語力を試す場として、しいては(大きく出るようですが)日本の国語力を伸ばすためのとものとして必須であるはず。また、テストで出題された文章に感銘を受けるなどで作家に触れ、作家のファンになっていく方もいるはずです。その将来の芽まで摘まんとする姿勢は、権利云々を語る以前に、実に大人気ないと思うです。
コーヒーのCMに使用された谷川氏の(おそらくは権利云々をクリアしているだろう)「朝のリレー」が好きだった身としては、今後谷川氏の作品に触れる度、行間に"芽を摘むだろう行為"を見透かしてしまいそうで嫌になるのです。無論、谷川氏以外の作品も同様に。考えすぎの感は否めませんが、国語の見本となる素晴らしい文章の書き手による権利主張が、国語力の低下を招くだなんて矛盾も甚だしくありませんか。
早急に、一方的な権利の受け入れだけではない制度に改築すべきなのです。現状のままでは音楽同様に国語力さえ低下、しいては滅びかねません。

●追記
無論、出版社側の怠りも今回の問題の大きな原因であることは事実です。
しかし、作家の権利主張にせよ出版社の怠惰にせよ、結局はテストを受ける学生等の側の不利益、彼らが一番の被害者になっているのは事実ですよね。教育の妨げをする権限は、作家にも出版社にも、ましてや著作権にもないはずです。