facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

ソニーへの進言

国際競争力の低下にあえぐソニーは二十二日、今後三年間に世界で一万人の人員削減や二千億円のコスト削減など抜本的な経営改革を実施する、と発表した。(中略) 構造改革に伴い、今期の連結業績は最終赤字に転落する見通しだが、主力のエレクトロニクス部門に経営資源を集中し、『ソニー復活』を目指す。
(中略)
 構造改革は、「再生の最重要課題」(ハワード・ストリンガー会長)として位置付ける不振のエレクトロニクス部門を中心に実施。同部門は十八年度での黒字化を目指すとしている。

(以上、記事より一部抜粋)
産経新聞の記事。記事の中で"脱「縦割り」問われる指導力"として、デジタル携帯音楽プレイヤーを例に挙げています。

◆脱「縦割り」問われる指導力
 「部門間の連携を阻害する体質を解消する」−。グループ経営の抜本見直しを指揮するハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)は二十二日の会見でこう語り、過去に成功した縦割り組織から抜け出せないソニーの体質改善こそが最大の課題だと強調した。
 現経営陣は六月の就任から百日間にわたって現在のソニーが抱える問題点を徹底的に洗い直してきた。米国三大ネットワークのCBS社長まで上り詰め、ソニーに移籍後も米国法人で映画や音楽部門のリストラを断行したストリンガー会長の目に映ったのは、「多層化し、意思決定が遅い」という肥大化した組織の弊害だった。
 その一例が、かつて「ウォークマン」ブランドで一時代を築きあげたものの、現在では米アップルコンピュータの「iPod」に首位独走を許しているデジタル携帯音楽プレーヤーだ。
 音楽配信サービスと一体となってiPodを売り込むアップルに対し、ソニーが敗れた最大の原因はハードとコンテンツの連携が遅れたためだ。
 ソニーはコンテンツとなる音楽部門を傘下に持ち、アップルに先駆けて音楽配信事業に乗り出していたが、著作権の保護などを理由に、パソコンからプレーヤーへの転送回数を制限したことなどから、ユーザーの支持を得られなかった。硬直した商品戦略こそが縦割り組織の悪弊だった。
 こうした弊害を取り除くため、中期経営方針では部門ごとに採算を図るカンパニー制を廃止し、エレクトロニクス、映画、音楽、ゲーム各部門の壁を取り払うことを打ち出した。目指すのは「革新的な技術を生かしたヒット商品の創出」(ストリンガー会長)だ。

(以上、記事より一部抜粋)
ここでいうところの音楽面での弊害からの脱出方法として"ソニーグループ全体での(ハードとコンテンツの)連携強化"、"各部門の壁の撤去"を挙げていますが、それ以前に"アップル/iPodとの壁の撤去"こそ最優先事項ではないのでしょうか。

ユーザーの支持を得られなかった商品戦略は"レーベルゲート"、"ATRAC3"等挙げればキリがありません。いずれもソニー系の音楽(ソフト)はソニーのハードで聴くように、という不自由さがユーザーの反発を招き、レーベルゲートに至ってはCCCDからの撤回という結果(当然の帰結といえるでしょう。CCCDは"消費者はコピーをする犯罪者予備軍"との見解で導入されたものです。消費者を敵視するモノが消費者に支持されるはずがありません)となりました。しかし、アメリカで導入され始めたセキュアCD((ソニー製をはじめとする一部プレイヤーにのみ、且つiPodに準拠しない規格の)セキュアCD導入強化によるデジタル携帯音楽プレイヤーとの連携を行わんとする姿勢)をみるに、結局ソニーはどうしてもソニー内での囲い込みをすることに躍起になっているという認識を持たざるを得ません。(ソニー側はそう思ってないのかもしれないのですが、)音楽配信によって生まれるであろう音楽の楽しみや自由を、ソニー内の硬直性が奪いつつあるのではないのですか。そしてその自由度が、アップルとソニーの大きな差である、と考えます。

今後もそういう硬直性を抱き続けるならば(いや、iTunesの値上げや日豪でのiTMS不参加の動き、セキュアCD導入からみて硬直性は明らかでしょう)、ユーザーから不信感を抱かれ、ついにはソッポを向かれるでしょう。極論かもしれませんが、ソニーは自社の音楽(ソフト)部門をハードとはまったく別のものとして扱い、ユーザー、アーティスト、レーベル全サイドが楽しみも利益も享受出来るよう努めるべきだと考えます。