facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

JASRACへ、一方的な論調は止めてユーザーの意見を聞く姿勢を見せてくれませんか?

社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)のホームページ内で、『JASRACは他の音楽関連団体とともに、iPodなどハードディスク内蔵型録音機器等の、早急な政令指定を求めています』という記事が掲載されました。以下、抜粋させていただきます。

JASRACは、
iPodなどハードディスク内蔵型録音機器等の、
早急な政令指定を求めています

 現在、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会では、iPodなどのハードディスク内蔵型録音機器等を補償金の対象として政令指定するかどうかを含め、私的録音録画補償金の見直しが検討されています。

「JASRACの考え」へ


誤った議論で、
音楽作家、アーティストの権利が損なわれないように

 この問題について、一部から「補償金制度は不要。DRM(デジタル著作権管理)技術で解決できる」「補償金の支払いは二重取り」「補償金の分配方法が不透明」などの意見が表明されていますが、いずれも誤った認識に基づくものと言わざるを得ません。
 私的録音録画補償金制度が正しく理解されるよう、JASRACは以下のFAQを用意しました。音楽作家、アーティストの権利が損なわれることのないよう、皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。


FAQ

文面及び20項目にわたるFAQから察して、極めて押し付けがましい文章である、と十分感じられます。各ブログでこの問題に関し議論されるものに関して、『いずれも誤った認識に基づくものと言わざるを得ません』と断言するJASRACの姿勢は、全く聞く耳を持とうとしない愚考です。
FAQで特に気になったのは、14及び15。いずれも全く同じ答えで、『現在の補償金制度では、政令で指定された機器や記録媒体を購入する方は、必ず補償金を支払わなければなりません。しかし…』と掲載されています。
これはつまり、政令指定することをハナから念頭に置いた意見ではないのですか。はじめから政令指定ありき、という考えは前述の"全く聞く耳を持とうとしない"姿勢を実践しており、極端な話"政令指定が完了するまでその姿勢を貫き通す"可能性が高いといえるでしょう。この週刊ダイヤモンドの記事に関して『『忙しくて時間がない』(広報部)との理由で、いっさいの取材に応じ』ない(鎌津間ブログ『JASRACの呆れた実態な記事』より一部抜粋)のもその姿勢を端的に示したものです。
JASRACは、HP内で『著作物がデジタル化されネットワークで世界をかけ巡る時代を迎えた今、あらためて公益法人としての立場を自覚し、60年を超える実績と経験をベースにデジタル化・ネットワーク化時代の著作権管理のあり方を追求する』と宣言しています(『JASRACの紹介』より)。しかし、一方的な考え/ユーザー(いや、この場合は広く国民というべきか)不在の議論や、あわよくば政府を味方につけようとする(FAQの文面から見るに、そう読み取れてもおかしくないのでは)姿勢は、著作権管理のあり方を追求するものでも、ましてや公益法人としての立場を追及しているものでもありません。週刊ダイヤモンドの記事と合わせて、JASRAC側にあくまで有利になるように仕向けたものではないのですか。私達がパブリックコメントで意見を提出したとしてそれら意見が全く無視される、ということがあってはいけません。
少なくとも一度、同じ土俵に立って意見を交わし合いたいと希望します。本来はこういう議論(といってもここでの討論における匿名の方の意見は問題有り、ですし一方的な論調がJASRACの姿勢と変わらないと言ってもいいのですが)を通してはじめて国民総意の良法を作り上げていかなければいけないはずです。


●追記
トラックバックをしてくださった(ありがとうございます)、Where is a limit?さんの『JASRACは、iPodなどハードディスク内蔵型録音機器等の、早急な政令指定を求めていますと言う記事が掲載』で、管理人のTontonさんが以下のような記載をされています。

で、時系列で考えると、まず例の週間ダイヤモンドの記事が09/12に掲載>著作権関係Blogやその他も炎上>09/14にJEITAが定例会見をするが、うち以外は記事にしなかったBlog多かった感じ(^^;)>ダイヤモンドの記事更に炎上>09/16にJASRACが自サイトにてJASRACは他の音楽関連団体とともに、iPodなどハードディスク内蔵型録音機器等の、早急な政令指定を求めています」を掲載、と言う感じですが、個人的にはかなり焦っている印象があります。

(以上、一部抜粋) 週刊ダイヤモンドの記事がかなり焦燥感を煽ったのは事実でしょう。となると、政令指定を求める動きが今後より活発になる可能性があります。
(JEITAの会見の記事もTontonさんが取り上げてくださっています。Where is a limit?『「“デジタルデフレ”で年後半も厳しい」──JEITA会長』を参照してください。)


そしてその動きとしてもっとも危惧しているのは下記の箇所です。

しかし、相手は金だけは豊富に持っています。貶める事は誰でも出来るかもしれません。でも、資金力・動員力を舐めていれば、後で簡単にiPod等に私的録音録画補償金が課けられる、と個人的には思っています。アッチはそれだけ強大であり、基盤も盤石です。関連団体や07/28に7団体がすぐさま記者会見を行った事も鑑みると、今回のパブリックコメントも相当数の賛成意見が提出されると思います

(Where is a limit?さんの『JASRACは、iPodなどハードディスク内蔵型録音機器等の、早急な政令指定を求めていますと言う記事が掲載』より一部抜粋)
強調箇所は自分の判断に因るものです。というのもこれには実例(表現が汚いかもしれませんが、"前科"と言っても過言ではありません)があるのです。2003年12月に募集していた"文化審議会著作権分科会報告書(案)"のパブリックコメントに関して、寄せられたコメントの公表方法に問題があり、さらには"組織票"が行われていたという事実があります。

パブリックコメントとは、『行政などが規制の設定や改廃をするとき,原案を公表し,国民の意見を求め,それを考慮して決定する制度』(goo国語辞典より)という意味です。広く国民の意見を聞くべき制度が、都合のいいように扱われていいはずがありません。
今回もし前回のパブリックコメントの不正と同様の動きが再び起これば、それこそJASRACを、そして政府を糾弾する必要があるでしょう。これは音楽問題のみならず、広く全ての問題において起こりうる問題なわけで、国民全体の監視と万が一の不正発生の際の意見の提出等での糾弾は必須といえるでしょう。
(かなり強く書きましたがJASRACを全て悪、と見なしているわけではありません。意見を都合のいいようにもっていかないでほしい、と願っているのです。)