facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

日本レコード協会のおぞましい動向

社団法人日本レコード協会が以前発表した(PDFファイル)「日本のレコード産業2002」について、取り上げています。
この中で、「日本のレコード産業の課題」という項目において、

日本のレコード産業も例外でなく、オーディオレコードの生産実績は3年連続して前年を下回り、かつてない厳しい状況におかれています。デジタル化・ネットワーク化の進展は、我々の生活に大きな変革と恩恵をもたらす一方で、音楽においては違法あるいは過度な複製を助長し、音楽文化発展の基本である「創造のサイクル」に危機をもたらしております。

とし、その対策として、

さらに最近顕在化している中古CDの流通問題に関しても、立法化に向けた活動を展開してまいります。

と宣言、しかも輸入権創設・公衆送信権の創設と合わせて立法化へ向けて「中古CDの流通に関する法整備」を明記しているのです。
(以上、枠内は抜粋させていただきました)
この流れを見れば、以前の知的財産戦略本部会合での金子一義行政改革構造改革特区担当大臣の発言はその前提を踏まえている、と言ってもあながち間違いではないでしょう。(内容はコチラ)
ということは、中古CDで安くは勿論のこと、廃盤等で音源が手に入りにくくなった過去の名盤を探し出したり、その音を聴いて触発され新たな音を創造しうるかもしれない未来の創造者を生み出すということを(極端な言い方ではありますが)真っ向から否定する、というものであることは明白であり、その立法化(たとえそうならなくてもその考えを明示した)時点で、真の意味での「創造のサイクル」は壊れてしまいます。

付け加えれば、日本レコード協会が発行する(PDFファイル)「THE RECORD 2004年6月号」にて、

平成16年度事業計画
(中略)
[4]著作権著作隣接権等に関すること
(中略)
③レコード保護期間の延長
米国、EUを中心としたレコードの保護期間延長の動きを注視しながら、日本においてもレコードの保護機関を発行後「50年」から「70年」に延長するため必要な活動を行う。

(以上抜粋)(情報元:ふっかつ!れしのお探しモノげっき「やっぱりなぁ・・・(呆)」)
と明記しています。これは、以前著作権法改正法案衆議院審議の際に日本レコード協会会長の依田氏が「保護機関は50年が適当」と言い切ったことを更に助長し、明文化することで日本レコード協会として推進する、ということに他なりません。
で、保護機関をそれだけ増やせば逆に手に入らない作品がもっと出てくるはずですから、中古盤の存在は更に大きな意味を持つのではないでしょうか。保護機関の延長・中古盤規制の向かう先は、結局として「高い国内盤CD(極めてCCCDという可能性が高い)しか購入できないという選択肢の抹殺」に他なりません。そこまでして国内盤を買わせたいということの現われに、日本レコード協会、レコード業界のエゴが見えてしまうのは自分だけでしょうか。
はっきり言ってしまえば、愚の骨頂です。

一度、日本のレコード会社に所属するアーティストに、例えば「中古CDを購入したことがありますか?」「レンタルしたCDを聴いたことはありますか?」(レンタルさえ許されなくなるのでは、というきらいがあります)、そして「それらのCDから影響を受けましたか?」等の質問をしたらどうでしょうか。極端な話なのは承知ですが。