facethemusic (過去ログ)

20040421-20070301。音楽問題を中心に記載したはてなダイアリー、【facethemusic】の移行、その記録。

TBSラジオ 伊集院光 日曜日の秘密基地(日 13:00〜17:00)内「日曜ゼミナール」

5/16の放送でのこのコーナー(15時台)、テーマは「今国会で決まりそうな事」として、浅草キッドをゲストに放送されました。その中で、押し通されそうとしている法律のひとつとして、「著作権法の一部を改正する法律案」が取り上げられました。




(内容の追記)


興味深かったのは、まず「分かり易くAMで」「バラエティのジャンルの番組(ただしコーナーは真面目な切り口)で」取り上げてくれたことですね。そして、日米租税条約の側面からとても分かり易く解説をしてくださっていること。日米租税条約が5大メジャーのベクトルを明確化して、そのメジャーの「外圧に屈する」(下記より引用)ことになれば、すなわち法案の推進派が語る「日本の国益」には、全くもってならないということです。





(以下は書き起こし内容)




「日曜ゼミナール」

テーマ:今国会で決まりそうな事(押し通されようとしている法律)

メインパーソナリティ:
伊集院光
竹内香苗(TBSアナウンサー)
ゲスト講師:
浅草キッド(水道橋博士玉袋筋太郎)
解説者:内山(ニュースデスク)
(以上敬称略)



<水道橋>
さあ、続いてのキーワードに参ります。キーワード2!
[登場のSE]
<玉袋>
著作権法の一部を改正する法律案」[エコー付]
<伊集院>
ん?ん?「著作権法の一部を改正する法律案」? これは身近?身近ですか?
<水道橋>
あなたにとっては身近でしょう。
<伊集院>
まあ、僕みたいなアーティストにとっては?
<伊集院以外全員>
(笑)
<水道橋>
いやいや、思いっきりそのね、なんか、いわゆる海賊盤とか集める人にとってはですよ。
<伊集院>
集めてねぇってば!だからさぁ。
<水道橋><玉袋>
怪しぃねぇ。
<伊集院>
俺に何を着せたいのよいつもそれは。
<水道橋>
あのね、これはですね、えー、実は今、この法案によってですね、輸入CDね、買えなくなってしまうかもしれないっていう問題が浮上しているわけです。
<伊集院>
ん?ん?これどう、どうゆうことですか? 輸入CD…
<水道橋>
あの、大型ディスカウントストアなんかに行くと、よく見かけるのは、日本のアーティストのディスカウントCDってあるんですよ。
<伊集院>
うんうんうんうん。
<水道橋>
宇多田ヒカルとか安室奈美恵とかB'zとか、正規盤と全く同じジャケットなんだけど安い。
<伊集院>
あ、最近ホントそうなんですよ。それも極端に安い…
<水道橋>
でしょ?
<玉袋>
で音質も随分上がっててね。
<竹内>
そうそうそうそう。
<玉袋>
海賊盤としてはこれ、なかなかの出来ですよね。
<水道橋>
いや、いやいや、君は推奨してるだけで、これ、ダメなんですよ。
<玉袋>
海賊盤じゃない?
<水道橋>
これ、あの、今しゃべってるのは海賊盤の話じゃないんですよ。
<伊集院>
え? 要は、これ、一個はっきりさせておかなないならないのは、ディスカウントストアで売ってるあのCDは、海賊盤ではないんですね?
<水道橋>
そうそうそう。ホテルカリフォルニアだと思って買って、タンポポ*1っていう話でもない。
<伊集院>
(笑)ないんだ。またカヴァーでもないわけですよね。
<水道橋>
うん、それとも違うんですよ。
<伊集院>
これ、内山さん、これはどうなん、なんですか?
<内山>
これね。
<水道橋>
正規(盤)ですよ。
<伊集院>
正規。
<内山>
そう。でね、実はね、この大型ディスカウントストアで見られるね、この日本のアーティストのCDっていうのは、アジアから逆輸入されたCDなんですね。これ、還流盤なんて言い方をするようですね。で、これあの、アジアでは日本のJ-POPも大変人気があるそうなんですが、最近では、あの、日本のレコード会社からライセンスを受けて海外で作られた邦楽CDってのが増えてます。で、これを逆輸入して安売りする動きが拡がっているわけですね。
<伊集院>
あ、これは、要は中国の正規盤ってことですよね。
<内山>
というかライセンスを受けてる…
<伊集院>
ライセンス商品…
<玉袋>
あるのよここに。ほらCDが。
<伊集院>
お?お、お…
<竹内>
アレ?
<玉袋>
ヒッキーの、コレ、シングルコレクション。
<伊集院>
はい。
<玉袋>
これ一緒でしょ? 日本と(と、国内盤と比較させる)。
<伊集院>
全く一緒ですね。
<竹内>
一緒ですね…
<玉袋>
だからここ、値段が違うんです。逆輸入盤の金額がですね、2079円。
<伊集院><竹内>
はい。
<玉袋>
日本盤で買うとしたら、3059円ですから、千円近く安いんですよ1枚分。
<伊集院>
ほうほうほうほう。
<玉袋>
で、ジャケットも日本語だし、歌詞カードも日本語よ。
<伊集院>
ええええ?(若干言葉になってない。驚きの様子)
<玉袋>
ところが、なんつうの、この何? 帯みたいなところが、ほら、海外。
<竹内>
あ、ホントだ。
<伊集院>
ちょっと見せて…ホントだ、あ、その横についているやつだけタイ語で…
<玉袋>
で、歌ってる人がタイ人だから。
<全員>
(笑)
<水道橋>
それ、海賊盤ですよ。
<伊集院>
それ海賊盤じゃない?海賊盤
<玉袋>
ヒッキーが歌ってるのよ。ホントに。
<伊集院>
何も変わらないじゃないっすか。
<玉袋>
そう。
<水道橋>
そうなんですよ。
<玉袋>
俺、ちなみに、それおととい定価で買ってんだよ。バカバカしいね。
<伊集院>
って思うよね。普通考えれば。
<水道橋>
千円違いますからね。
<玉袋>
はい。
<水道橋>
えー、実は今回のですね、「著作権法の一部を改正する法律案」は、この逆輸入によって国内制作盤が売れなくなることを防ぐ為に、そうした逆輸入盤の日本国内での販売を禁止するためだけの法案だったんですよ。そのはずが、いつの間にかもっともっと話がでかくなってきてます。
<竹内>
ん?
<伊集院>
え? じゃビックリして耳がでっかくなっちゃったみたいな?
<全員>
(笑)
<伊集院>
ええええ? なに、話がでかくなったって、これ、どう…?
<内山>
あのね、今回の改正案というのはね、今アジア盤の話が出てきましたけれども。アジア盤の逆輸入だけではなくて、アメリカやヨーロッパなどの輸入CDにも適応されるんです。
<伊集院>
え? ちょっと何か話が見えなくなってきたぞ。どういう事?
<水道橋>
えー、つまりですね、タワーレコードとかHMVなんかで大々的に売られてます、ロックやポップスなんかの輸入盤、同じ楽曲の洋楽CDでも、輸入盤はライセンスを受けて、日本国内で生産されているものより、通常2〜3割は安いわけですよ。
<玉袋>
俺こっち利用してるよ。
<伊集院>
はい。買ってるよ。
<水道橋>
はい。そうした輸入盤に関しても、禁止という項目も、この法案に盛り込まれようと、今、してます。
<伊集院>
ん? ちょっと待ってくださいよ、ちょっと待ってください。要するに日本、日本でね、こう、宇多田ヒカルの曲出しますよね。それでいて、じゃあ、えー、海外で海賊盤とか出されるよりはちゃんとライセンスを供与しましょうよ、ってことで海外で出ますよね。で、その、現地の物価に合わせて安いCD作られますよね。で、それを日本に持ってきてみたいことは、確かに、著作権で商売をしてる人にとってみればきつい(というの)は分かるんですよ。きついは分かる。だから、その、アジアでライセンス生産された邦楽のCDが、まあ、を、どうにかしたいという動きは、まあ分からなくはない。え? だって、アメリカ、の、レコードもダメなの? アメリカのレコード、を、日本で(混乱した様子)…もうこれまた訳分からなくなってきちゃったね。待って待って、これは?これはどういうこと…
<水道橋>
自分で作ったCDが直接売れたほうが儲けになるようにも思う、思いますよね?
<伊集院>
思う、思う…
<水道橋>
それが、そうではないんですよ。
<伊集院>
え?
<水道橋>
実はですね、アメリカの大手レコード会社が、最も大きく利益を上げるためには、日本ではライセンス生産したCDだけが売れるようにするのが一番だから、なんです。
<伊集院>
え? なんで? なんだって?…日本の、日本のもの…日本のものを中国で安くしたものが売れちゃうのは困るわけですよね。
<水道橋>
うん。ま、これ、なんでそんなことが起こるのか、これは憶測なんですが、それはやはり、今国会で批准された、もう決まった、日米租税条約、に関係があると言われています。
<伊集院>
これなんですか?日米租税条約…
<水道橋>
え、これもう難しくなってきたんで、もう内山さん以外分かんないです…
<伊集院>
はいはいはい。
<内山>
これ、この条約というのはね、二重課税の防止の相互協定が7月から両国で実施されるという仕組になってますが、まあ、これから順を追ってお話していきますがね、あのね、具体的にどういうことかっていうと、日本にある会社、日本に存在している会社でもね、アメリカの会社が半分以上の株式を持つ、と、いう会社に関しては、日本での売上に対しての税金は、日本では免除される、つまり日本での税金は掛かんないということなんです。日本にある会社であっても、アメリカが、の会社が株式を半分以上持ってる会社は、日本での売上に対しては日本では非課税になる。
<伊集院>
それ、アメリカのルールに従って…
<内山>
そうですね、そうです。でね、これあの、よくあの、レコード会社で5大メジャーと言われている、ソニー、EMI、ワーナー、ユニヴァーサル、BMGかな、このレコード会社の日本法人、これほとんどがね、アメリカの本社が半分以上の株式を保有しているんですよ。ね、そうするとまあ、日本での税金がかからなくなると。売上に関してはね。なるんですが。そしてその、洋楽のCDというのは、日本でライセンス販売されるものが国際的には最も価格が高い、というふうに言われています。日本でライセンス販売されるものがものすごく値段が高い。
<全員>
はい。
<内山>
従ってメジャーのレコード会社にとっては、日本では、輸入盤の販売を止めてしまう、禁止してしまって、ライセンス生産のCDだけの販売を許可することにすれば、儲かります。
<玉袋>
儲かるわな。
<内山>
だって一番、値段が高いわけですから。
<伊集院>
同じものが高く売れるんだ。
<内山>
そうです。うん。で、そういうふうに儲かる、と。更にその儲けにかかる税金ってのは日本ではかかりませんから。さっき申し上げましたが。アメリカでのみ、納めていればいいというだけなので、非常に儲かるわけです。
<水道橋>
つまりこの、海外レコード会社にしてみたら、1枚売って数百円儲かるかどうかの輸入盤を売るよりも、マスターテープを送るだけで日本で勝手に作られる日本盤を売って、高いこの、ライセンス収入で儲ける方が、理財がデカい、と。
<伊集院>
そう…そうですよ。だって、今、ちょっと何がおかしいかと思ったのは、日本で売る…日本で作ったものを中国で売られるときに、日本は反対…中国で作ったものが売れると日本は反対じゃないですか。でもアメリカは、アメリカのものを日本で売ってくれ、って言ってるのはおかしいじゃないですか。
<竹内>
うん。
<伊集院>
おかしいと思ったんだけど、要は結局アメリカの懐に入るんだから、より高く売ってくれるほうが嬉しい、っていうだけの話なんですか?
<玉袋>
悔しいよそりゃ。
<竹内>
うーん。そうですね。
<伊集院>
え? なんか、すごい外圧に屈してる匂いがするけど…
<竹内>
うーん、長いものに、ね、巻かれてる感じがしますけどね。
<玉袋>
ね、巻かれてるよ。巻かれてるなぁ。
<伊集院>
巻かれてるよぉ。
<竹内>
じゃあ、でも、仮にお店で買えなくなったとして、あの、Amazon.comっていう、あの、本を買う、あの通信販売は、こういうのははどうなるんですか?
<水道橋>
これはですね、一応法律の対象外ということなんですが、もしもメジャー側がですね、自分達の儲けを最優先するなら、そうした通販会社に、日本への発送をまず禁じたり、商品を卸せなくなったりして、あくまでライセンス生産のものを買わせようとする可能性もある。
<玉袋>
ずるいよ、ずるいずるい。
<伊集院>
えぇ、だって、だってわかんないけど、それを例えばアマゾンで買って、でそれを、こう、例えばネットで転売してる…したとしたら…
<玉袋>
みんな、もう、西新宿のね、海賊盤屋に集まっちゃうよ。凄いんだから。
<伊集院>
逆にね。逆にそうなっちゃうよね。
<玉袋>
集まっちゃうよ。うん。
<水道橋>
えー、それでもですね、日本でライセンス生産されるくらい有名なアーティストや楽曲は、まだCDが手に入るだけでいい(入るだけ、いい)んですが、困るのはマイナーなアーティストのファンやコレクターの人。さっきも言いました、コレクターですね、出ました。日本盤が出てないCDは、輸入しても構わないわけですが、輸入CD全体の量が減るわけですから、運送料などの関係で、値段が上がってしまったり、手に入りにくくなったりするかもしれない。
<伊集院>
ふんふんふんふん…
<水道橋>
更に、またこの、ね、西新宿に集まるようなね、外国盤ジャケット違いなんかでCDが欲しいコレクター、この人たちはどうすればいいか?
<伊集院>
あ! 例えば、ホントだ。ビートルズコレクターとかいるじゃない。世の中にいるじゃないですか。それでいろんな国のやつが欲しい。それは別に、純粋な気持ちでいろんな国のやつが欲しい時には、もう売ってないってこと?
<玉袋>
手に入らねぇんじゃないの?
<伊集院>
そうですよ、お店ではもう売らない…
<水道橋>
売らないっていうか…ま、規制を強めたらお店どころか通販でも売らない。
<伊集院>
売らなくなっちゃう…
<玉袋>
どうするの?
<内山>
ね。まぁとにかくこの、なんだか変だなあ? っていう、この「著作権法の一部を改正する法律案」。これ、あの、先月の21日に参議院を通過して。参議院で先に、あの審議されているんです。
<伊集院>
あ!もう審議され…したん?
<内山>
でね、これから衆議院での審議に入ります。で、この衆議院の審議が5月の下旬から、という見通しなんですね。で、このまま成立しますと、来年の1月から施行されます。
<水道橋>
はぁ。
<伊集院>
これ…(絶句)
<内山>
で、更に、その日本の、そのCDにコピー防止で加工されている、コピーコントロールCD、っていうのがあるんですね。でこれは、あの、音質が悪くて対応できないCDプレイヤーもある、ということで、これが嫌な人は輸入盤を購入していたんだそうですが、この選択肢もなくなってしまうと…
<玉袋>
そうなのよ。
<伊集院>
玉袋さん、厄介とはそういう意味ですよね。
<玉袋>
もう厄介だったんだこれがもう…パソコンに入れたって何にしたって…
<伊集院>
オーディオマニアでおなじみの、玉袋さんが、音質の悪さを追及して、厄介、っていうことですよね?
<玉袋>
いやいや…そうですそうです。
<伊集院>
それ以外の意味ではもうやめてくださいよ。
<玉袋>
もうね、ホント嫌なんだな、こりゃ。
<伊集院>
や、でもこれ、なんか、僕は、あのそれほどいい意味で思ってるわけではないから、分からなかったんですけど。あの、オーディオマニアの人に言わせると、若干…らしい…若干音の、質?…そこに、データを入れるべき所に、このコピーコントロールの機能が入ってるから、若干音質が下がるんだそうですが。だからそうするともう本当に音…いくらでもオーディオ(に金)かけて、に、お金かけているような人は、嫌みたいですねこれね。
<玉袋>
ま、音は気にしないんだけどやっぱ、ブツを取り込むってことをね…
<水道橋>
音ですよ。音ですよ。
<伊集院>
すいません玉袋さん、音以外はもう一切気にしないから。
<水道橋>
人がいるっていうか。
<伊集院>
おぼせで、おぼせで、ゆかり(その日の愛知のお菓子のお土産だった)を食べてもらいますよ。
<水道橋>
(笑)
<玉袋>
すいません。
<伊集院>
お願いしますよ。
<水道橋>
さあ、輸入CDの件がですね、由々しき事態になりかねないかよーくお分かりいただけたと思います。
<伊集院>
はい。


(この後、著作権法の関連として、書籍・コミック本のレンタルに関しても、作者が著作権料を取れるようになる、という話題へ)

*1:番組で変なカヴァーを取り上げる企画で出てきた曲を例に挙げています。詳細はコチラ

閑話休題 シェリック再発です (CD Journal.com 奇跡!シェリック紙ジャケにて再発!!)


1週間以上前の話題ですが、ここで取り上げさせていただきます。

99年に事故で惜しくも他界したSherrickの唯一のフルアルバムが再発だなんて!傑作と言われながら廃盤となり、2枚目も結局出てこないままだったので、再発の朗報に喜びはひとしおです。こういう「素晴らしい音楽を伝える姿勢」こそ、レコード会社にあるべき姿勢ですよ。半ば説教臭い気もしますが。
R&Bのディスクガイド本"Juicy"を編集した印南敦史さんが、同タイトルの80年代(〜92年頃まで)のR&B好作を集めたコンピレーション6作を監修したのですが、その中のワーナー盤に収録された鬼バラード"Lady You Are"。その1曲で彼の魅力に取り付かれてしまいました。歌い方が今の歌唱方法と若干違っているのかもしれませんが、突き抜ける歌い上げ感が堪りません。奇跡的に日本盤を手に入れることができたのですが、"Just Call"でのYouの歌い上げには、多少大袈裟でも失神するくらい気持ち良い突き抜け感を感じずにいられません。鳥肌モノです。